(ソウル新聞 韓国語 2018/10/11)

10日、科学技術情報通信部[省に相当]の国政監査の場で、来る25日に予定された韓国型発射体『ヌリ号』に搭載される75トン(エンジンの)試験打ち上げ過程を生中継しないことを“政権支持率”と関連づけ、試験打ち上げの生中継を要求して横車を押す見苦しい場面が出た。
※国政監査:国会が毎年定期的に国政(行政)全般に対して監査する権限をいう。毎年、8~10月の間に行われる。(ケイペディア) 今年は10日から29日まで。

研究現場にある科学者は「研究開発過程について全く理解できていないとんでもない要求」という指摘だ。これは研究過程の一部である試験発射体を部処[省庁]の広報手段と考えている科技部の発想のために発生した問題という指摘まで出ている。

10日、政府果川庁舎で行われた科技部国政監査で、国会科学技術情報放送通信委員会所属キム・ギョンジン民主平和党議員は「25日に予定されたヌリ号試験打ち上げは、放送を通じてなぜ生中継せず、録画中継をするのか、政権支持率の低下を心配しているのと違うか」と主張した。

これに対し、イ・ジンキュ科技部第1次官は「試験打ち上げは研究開発過程で本打ち上げではないため、そのまま放送するのは負担となる恐れがある」と答えた。

キム議員は「研究開発過程だが、国民の血税が入っているため、放送局も望んで生中継することが正しい」と反論した。

科学技術情報放送通信委の委員長であるノ・ウンレ共に民主党議員まで加勢し、「研究開発過程を公開できないというのは無責任だ。それでは最初から公開をしないべきで話にならない」とし「公開することができるようにしなさい」と圧迫した。

ユ・ヨンミン(兪英民)長官[相]は「放送局が生放送をするなら、防ぐ理由はないと思うので相談してみる」と答えた

このようなニュースを伝え聞いた研究者は「とんでもない」「科学技術研究システムを全く理解できていない要求と回答」とため息をついた

ヌリ号の開発主体である韓国航空宇宙研究院は、今月末に予定されたエンジン試験発射体の意味について、「今回の試験打ち上げが成功したからといって、3段型発射体が成功するという保障はない」とし「あえて今回の試験打ち上げの意味を付与するならば、開発された75トンエンジンが飛行中にも十分に動作するということを確認することだけ」と説明した。今回の試験打ち上げの成功基準は、国会議員が見るには曖昧にならざるを得ないという説明だ。ナロ号の時のように衛星を搭載して打ち上げるのでもなく、目標高度に上げるのでもなく、地上で正常に稼動した75トンエンジンが、飛行中にも正常に稼動するのか確認するためだ

実際、アメリカやヨーロッパ、中国、日本など宇宙先進国では、発射体の開発過程で試験打ち上げをしない場合も多い。

結局、今回の事態は政府部処の中で存在感のない科技部が、試験打ち上げを無理に広報手段として使って逆風を迎えたものと指摘する声も出ている。試験打ち上げで予想できない事態が起きた時、ヌリ号開発事業自体と研究者が被る打撃と心的負担を考慮していないという話だ。

国政監査期間に一日空けて国会議員がヌリ号打ち上げ現場にどっと行くことも、研究者には負担にならざるを得ないというのが、出資研究所[政府出資の研究機関]の研究者の立場だ。

ソウルのある大学の教授は「試験打ち上げは文字通り研究過程の中間評価概念で、成功失敗の基準が曖昧だ」とし「発射体の最終成功は2021年の打ち上げで決まることだが、国会議員が本当に血税が投入される研究の成功を望むなら、静かに行って研究者の悩みを聞き入れる態度が必要だ」と話した。

また、この教授は「多くの研究者が研究する分野で、国民の税金が入っていない場合が殆どないが、議員の発言通りならば、新しい物質を合成する研究室にむやみに入って行き、うまくやっているのか監視するというのと同じこと」とし「国民の血税という用語が、議員が自分の主張を貫徹させるために伝家の宝刀のように使われてはならないし、科技部はもちろん、議員も科学技術の発展を望むならばもう少し慎重に接近する必要がある」と指摘した。(機械翻訳 若干修正)

2018年09月24日