(朝日新聞 2018/10/03)

 高校授業料無償化の目的は、家庭の経済力にかかわらず学びを等しく保障することだ。国籍を問わず外国人学校の生徒も対象としている。朝鮮学校の生徒を除外するのは制度の趣旨に反するはずだ

 国が大阪朝鮮高級学校(大阪府東大阪市)を無償化の対象から除いたことの違法性が争われた訴訟で、大阪高裁は国の処分を適法と判断した。違法として対象にするよう命じた昨年の大阪地裁判決を取り消した。

 高裁は、朝鮮学校と、北朝鮮を支持する在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関係に焦点をあてた。幹部間の人事交流や、北朝鮮の指導者を礼賛する総連傘下の出版社の教科書を使っていることを挙げて、教育基本法が禁じる「不当な支配」を受けており、無償化の要件に合わないと指摘した

 朝鮮学校の前身は、朝鮮半島出身の人々が戦後、民族の言葉を学ぶ場として建てた国語講習所だ。民族教育として朝鮮総連が学校を援助してきたのは確かだが、生徒も保護者もすでに日本で生まれた世代になり、様々なニーズを受けて教育内容も変化している。

 一審の大阪地裁は、法廷で卒業生や元教員の声を聞き、学校生活のビデオも見て教育の実情を検討した。その結果、歴史的背景から朝鮮総連の援助は不自然ではないとし、授業に北朝鮮を賛美する内容があるものの、補助教材で多様な見方を教えているため「教育の自主性までは失っていない」と判断した。

 こうした生徒の立場に立った検証と判断が、司法に求められているのではないか

 政府が6年前、朝鮮学校を高校無償化の対象外とする方針を表明した際には、北朝鮮による拉致問題に進展がなく、国民の理解が得られないことを理由とした。日朝政府間で解決すべき問題と教育の機会保障とは、切り離して考えるべきだ。

 国連の人種差別撤廃委員会は8月に懸念を示し、朝鮮学校の生徒を差別しないよう日本政府に求めた。この委員会を含めて国連機関から同様の勧告を再三受けているにもかかわらず、政府は応じないままだ。

 朝鮮学校の卒業生は日本の様々な分野で活躍しており、社会を支える一員である。教育政策で朝鮮学校を排除し続ける国の姿勢が、生徒や卒業生を含む在日社会への偏見や憎悪感情を助長しかねない。学校関係者はそう危惧している

 政府は無償化制度の原点に立ち返り、朝鮮学校も対象とするべきだ


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