(朝鮮日報 韓国語 2018/09/24)

約一月後には韓国型発射体(ロケット)に搭載される75トン級液体エンジン1基構成されたエンジンの試験打ち上げが行われる。3回の挑戦の末に2013年1月30日に打ち上げに成功した『ナロ号』以後、国内で宇宙ロケットが打ち上げられるのは5年9か月ぶりだ。2010年3月から2021年3月まで計3段階の事業として着手された『韓国型発射体開発事業』の重要な関門であり、最初の試験舞台だ。

打ち上げ日が近づく大きくなる期待ほど内外の懸念も高まっている。技術的完成度や打ち上げ当日の予期せぬ状況発生に対する懸念ではない。最終的に完成される独自開発の初の宇宙ロケットである『韓国型発射体』と、10月に打ち上げされる『試験発射体』を混同することがすでに起きているという懸念だ。10月の試験打ち上げが、万が一望む方向で実現しなかった場合、韓国型発射体の開発に対する全般的な世論に否定的影響を与えかねないという指摘が出ている。

特に科学技術情報通信部(省に相当)が韓国型発射体に搭載されるエンジン1基をテストする打ち上げを控え、韓国型発射体の名称を公募した選定結果である『ヌリ号』を発表、このような懸念が現実化した。一部では科学技術情報通信部の過度な広報意欲が生んだ取り返しのつかない“惨事”という話も出ている。

◇韓国型発射体と試験発射体、ヌリ号...自ら招いた混同の“ルツボ”

9月3日、科学技術情報通信部は韓国型発射体の正式名称の公募の結果を発表した。2週間が経った去る9月16日、〈『ヌリ号』試験発射体、10月25日から31日の間に打ち上げ推進〉という題名の報道資料を出して打ち上げ日を知らせた。ニュースがアップデートされるたびに世間の関心は大きくなり、報道も相次いだ。

問題は10月25日に予定された打ち上げに対する不正確な情報が溢れ出たという点だ。〈韓国型試験発射体 10月25日打ち上げ〉、〈初の韓国型試験発射体ヌリ号 10月25日に打ち上げ〉、〈韓国型発射体ヌリ号 来月25日に試験飛行〉などのような報道とニュースがインターネットで広まった。

韓国型発射体と試験発射体は異なる概念だ。2021年に打ち上げ予定の韓国型発射体は3段型発射体で、1段は75トン級液体エンジン4基を束ねて300トン級のエンジンを構成し、2段は75トン級液体エンジン1基、3段は7トン級液体エンジン1基で構成される。高度600~800kmの太陽同期軌道に重量1.5トン級の実用衛星を載せるのが目標だ。

一方、試験発射体は韓国型発射体の1段と2段に活用される75トン級液体エンジン1基で構成される。姿勢制御と飛行シミュレーションのための重量シミュレーターがエンジンの上に付けられる。このような理由で10月25日に打ち上げ予定のロケットは、厳密に言えば韓国型発射体の試験発射体ではなく、韓国型発射体の主力エンジンの飛行テストというのが正確な表現であるわけだ。

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▲韓国型発射体と試験発射体の比較。/科学技術情報通信部提供

しかし、韓国型発射体の名称を中途半端に公開して国民のイベントとして進めようとする意図がより増し、混乱を自ら招いたという指摘が多い。大多数の国民が各概念を正確に区分するのが難しい状況で、万が一打ち上げに問題が生じた場合、韓国型発射体(ヌリ号)は打ち上げもしてみることができず、否定的な世論に巻き込まれる恐れがあるという話だ。

ある専門家は「万が一、試験発射体の打ち上げに問題が生じた場合に予想されるイメージの打撃の責任を誰が負うのか」とし「正確な情報を知らせようとする努力よりも、イベント化しようとする展示行政の典型」と批判した。

◇曖昧な成功・失敗基準が論議に、試験打ち上げ“無用論”も水面上に

名称と概念に対する混乱の他にも、10月25日の打ち上げに対する評価基準が定まっていないという問題も議論になっている。どこまでを成功または失敗と見るべきなのか基準が曖昧という指摘だ。最初から成功や失敗という単語を使ってはいけないという主張も出ている。

75トン液体エンジン1基で構成された試験発射体は、実際の飛行モデル(FM)と同じ認証モデル(QM)の最終総合燃焼試験で、目標燃焼時間である140秒を越える154秒の燃焼に成功した。燃料を焼尽するまで地上で燃焼したという点だけFMとは異なる点だ。

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▲75トン液体エンジン1基で構成された試験発射体燃焼試験の様子。/科学技術情報通信部提供

試験発射体が目標にした燃焼時間である140秒間飛行した場合、高度約195km、地上距離約400kmに到達することになる。これを根拠に目標高度を195kmに決めることができるが、打ち上げ当日の気象状況と打ち上げ角度によりいくらでも変わり得る部分だ。

このような理由で、打ち上げを1か月控えて試験打ち上げ“無用論”も提起されている状況だ。エンジン性能の検証が試験打ち上げの核心目標だが、エンジン性能は地上試験で検証可能だというのが専門家たちの見解だ。アメリカ、日本、ヨーロッパなど先進国もエンジン性能を検証するために試験打ち上げする事例はなかった

また、試験発射体は韓国型発射体と長さと重さ、形態など諸元がまったく違い、試験発射体の実際の飛行テストと韓国型発射体の飛行は異なるという点も試験打ち上げ無用論に力を与えている結局、試験打ち上げで得ることより失うことがより多い可能性もあるという評価がすでに出ているのだ

タク・ミンジェKAIST航空宇宙工学科教授は「韓国型発射体開発事業計画を作った当時にも試験発射体の必要性に対する意見は交錯したが、先進国が発射体を開発する時に形態が異なる試験発射体の飛行試験を別途実施せず、地上試験だけでエンジン性能の検証が可能なため」といった。(機械翻訳 若干修正)