(朝鮮日報 2018/08/08)

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が一昨日行った韓国大統領府秘書室、政策室の1級以上秘書官人事で、スタッフの6人中5人が運動圏と呼ばれる左翼系の元学生運動活動家で占められるようになった。まず市民社会秘書官には利敵団体への加入などで2回にわたり国家保安法違反で服役し、北朝鮮による哨戒艦「天安」爆沈に疑惑を指摘した書籍の執筆者の一人が任命された。また社会調整秘書官には「良心囚釈放推進委員会」なる団体で活動し、内乱扇動罪などで服役中の李石基(イ・ソッキ)元統合進歩党議員やハン・サンギュン元全国民主労働組合総連盟委員長の釈放などを求めた人物が就任した。さらに現在、人物検証中の広報企画秘書官、教育秘書官などにも元運動圏活動家の名前が上がっているようだ。

 今回の秘書官人事は、2年目の任期を迎え国政全般で目に見える成果が求められる文大統領の思いが強く反映されたものだという。しかし実際にふたを開けてみると、文大統領の側近スタッフとして新たに加わった顔触れをはじめ、秘書官らは元運動圏・市民団体の活動家が以前に比べて多くなった。とりわけ1級以上の秘書官31人に限ってみると、全国大学生代表者協議会(全大協)など運動圏や市民団体出身者が昨年末の17人から2人増えて19人となり、率にすると61%に達した

 大統領府スタッフに大統領と考え方が近い人物が就任するのはある意味自然なことだ。しかし現政権ほど大統領府スタッフに特定の集団出身者が多数を占めるようなケースはこれまでなかった。文大統領は先日行われた新任の大法官(最高裁判所裁判官に相当)任命状授与式で「大法官の顔触れは多様性が確保されなければならない」と述べた。ところが大統領府のスタッフはもはや完全に左翼活動家ばかりとなりつつある。大統領の側近が運動圏出身者で占められ、彼らが大統領府を掌握すれば、国政におけるバランスは完全に失われてしまうだろう。バランスが崩壊すれば国政そのものが完全に暴走してしまうのではないか。


(朝鮮日報 2018/08/08)

「1級以上の秘書官」61%

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6日に大統領府秘書官人事を行い、運動圏と呼ばれる左翼系の元学生運動活動家や市民団体出身者を複数抜てきした。この結果、大統領府秘書室のイデオロギーがこれまで以上に明確になった。

 大統領府秘書室、政策室、安全保障室の秘書官クラス以上のスタッフのうち、全国大学生代表者協議会(全大協)の元活動家や大学の総学生会長など運動圏出身者、さらに各種市民団体の出身者は64人中23人、率にすると36%となった。またイム・ジョンソク秘書室長をはじめとする1級以上の秘書官の31人に限ると運動圏・市民団体出身者は19人で、率にすると61%に達する。昨年末は17人だった。

 彼らは主に政務、民政、広報などの業務を担当している。とりわけ文大統領を直接支える側近グループに運動圏・市民団体出身者が多数を占めている。

 その主な顔触れを見ると、ソウル大学で民族統一・民主争取・民衆解放闘争委員会(3民闘委員会)の副委員長だった鄭泰浩(チョン・テホ)雇用首席秘書官、釜山・蔚山地域総学生会協議会議長だった宋仁培(ソン・インベ)秘書官、さらに趙漢起(チョ・ハンギ)第1付属秘書官、兪松和(ユ・ソンファ)第2付属秘書官なども運動圏出身だ。とりわけ大統領秘書室は全大協で第3代議長を務めたイム・ジョンソク室長を筆頭に、いわゆる「全大協世代」と呼ばれる人物が中心となっている。韓秉道(ハン・ビョンド)政務首席秘書官はイム室長と同じ時期、全大協の下で全羅北道地域の祖国統一委員会委員長を務めた。シン・ドンホ演説秘書官は全大協で文化局長を務め、白元宇(ペク・ウォンウ)民政主席秘書官は全大協連帯事業局長だった。大統領府と政府による政策の優先順位を決めるキム・ヨンベ政策調整室長も全大協系のソウル地域総学生会連合の幹部を務めた。

 一方で今月6日に任命されたチョン・ヒョンゴン市民参与秘書官、姜文大(カン・ムンデ)社会調整秘書官は最近まで左翼系の市民活動家だったため、一部で二人の人事を問題視する声も上がっている。チョン秘書官は2010年に哨戒艦「天安」爆沈の疑惑を指摘した『天安を問う』の著者の一人だった。また姜秘書官はかつて民主労働党の段炳浩(ダン・ビョンホ)元議員の秘書や民主社会のための弁護士会(民弁)の事務総長などを歴任し、最近も内乱扇動罪などで服役中の李石基(イ・ソッキ)元統合進歩党議員の釈放を訴えてきた。