(中央日報 2018/04/25)

文化体育観光部と韓国観光公社は先月訪韓した中国人観光客が40万3413人だったと23日に発表した。中国政府の限韓令(中国人の韓国団体観光制限)が始まった昨年3月より11%増加し、限韓令以降で初めて増えたということだ。だがこの数字は相当部分水増しされていることがわかった

法務部出入国外国人政策本部統計月報によると、実質的な観光客といえる短期訪問(C-3)ビザで入国した中国人は21万4841人で、限韓令発効前の昨年3月の20万4440人と特に違いはなかった。また、限韓令前に毎月3万人水準だったクルーズ観光(T-1・観光上陸)は24人で事実上姿を消した。ただ仁川(インチョン)空港と金海(キムヘ)空港で済州(チェジュ)経由を条件に発給するB-2ビザ発給者は4万3063人で1年前より1万4223人増えた。

これに対し中国同胞の入国は大きく増えた。先月の中国同胞入国者は10万5809人で昨年3月の2万8205人に比べ4倍ほど増加した

特にこのうち最も多くの割合を占める在外同胞(F-4)ビザ発給者は3万7657人で昨年3月の2609人より大きく増えた。F-4ビザは中国・ロシア僑胞などに発行する長期滞在ビザで、工事現場など単純労務職などを除いた就業ビザだ。だがビザ発給に向けて資格を取った後に他の職種に不法就労するケースもあるという。また、訪問就業(H-2)ビザを通じた中国同胞入国者は3万4436人だった。

40万3413人という全観光客数には中国の航空会社乗務員1万1013人も含まれている。こうした訪韓中国人観光客統計は出入国外国人政策本部が毎月集計する中国人・中国同胞入国者のうち駐韓大使館職員と家族、永住・居住目的の各国駐在員などを除いて集計している。

先月入国した中国人は32万1749人、中国同胞は10万5809人だ。韓国政府が言う「中国人観光客40万人」のうち中国同胞と観光以外の目的で入国した中国人を除くと約28万人だけが実際の観光客ということになる

これに対し韓国観光公社関係者は、「法務部の分類と文化体育観光部・観光公社の分類法は異なることもある。法務部がもう少し厳格だ。就業目的のビザといっても家族訪問など観光客流入に肯定的な効果もある」と釈明した

業界は最近増加した中国同胞の入国について、「代購」と呼ばれる中国からの担ぎ屋を理由に挙げている。ある旅行会社代表は「免税店担ぎ屋はいまや産業に発展した。相当部分がそこで働いているだろう」と話した。代購は免税店で商品を買う商人だけでなく、これを香港や中国などで流通するための人材が必要だ。中国語と韓国語が可能な中国同胞はこれにぴったりの人材だという。

806万人で過去最多を記録したと韓国政府が発表した2016年の中国人観客数もバブルだとみられる。別の旅行会社代表は「当時800万人のうち旅行会社が連れてきた団体観光客は400万人程度だった。ここにFIT(個人旅行客)200万人を合わせ実際には約600万人が中国人観光客だった」と話した

最近になり増加した中国人留学生も統計錯視に一役買った。国家教育統計センターによると昨年4月基準で韓国に留学中の中国人大学生(語学研修含む)は6万8184人で、2014年末の5万336人より35%増えたが、この数字もやはり文化体育観光部の中国人観光客統計に含まれる。

専門家らは不正確な観光客統計は政策決定に悪影響を与える恐れがあると懸念する。漢陽大学観光学部のイ・ヨンテク教授は「たびたび観光客数で政策が成功したかを広報しようとすればこれを膨らませたくなる誘惑に落ちるもの」と話す。

日本政府観光局の場合、観光客統計から航空・船舶乗務員を除いた数値とともに、再訪問者数も正確に集計するマレーシア観光庁関係者も「乗務員の数は含まない」と話した。イ教授は「外国の場合、政府の入国統計とは別に民間で観光客を集計する。宿泊統計が最も正確な訪問客数だ」と話した。合わせて「観光客1人が発生させる経済効果などを綿密に分析した『観光サテライト勘定』などの導入が急がれる」と話した。観光サテライト勘定(Tourism Satellite Account)は分野別の国民経済計算のひとつで、観光産業全般を現わす総合的な経済指標だ。