カーリング娘も食べちゃった〝盗作イチゴ”流出元の韓国農家を直撃!
(週刊文春 2018年3月15日号 2018/03/08)

「美味しそうに食べている姿は、イチゴの産地としては嬉しいものがありました。アスリートは食に気を遣うので、日本から持っていったイチゴかなと思っていたのですが……」

イチゴの名産地、栃木の農業関係者が残念がるのは、平昌五輪カーリング女子代表が〝もぐもぐタイム〟で、韓国産イチゴを頬張っていた一件だ。

 三月二日には、齋藤健農水相が「(韓国のイチゴは)日本から流出した品種を元に、韓国で交配されたものが主だ」と会見で語るなど、五輪終了後も、この騒動は燻りつづけている。

 韓国が日本の品種を元に開発したイチゴは全体の九割を占め、輸出量は二〇一五年度で約四千トン。対する日本は、その八分の一程度にとどまり、失った輸出機会は金額にして「五年間で最大二百二十億円に上る」(農林水産省食料産業局知的財産課種苗室)という。

 そもそも、どういう経緯で日本の品種が韓国に流出してしまったのか。

 現在、韓国で最もシェアの高い「雪香(ソルヒャン)」は愛媛県宇和島市の西田朝美氏が開発した「レッドパール」と、静岡県静岡市の萩原章弘氏(共に故人)が開発した「章姫」を交配して、韓国で開発された

 西田氏と共にレッドパールの生産に取り組んでいた赤松保孝氏(88)が述懐する。

「農業誌『現代農業』に掲載されたレッドパールを気に入った韓国人が二年続けて西田さんを訪ねて『苗を分けてくれないか』と頼んだ。それで契約しました」

 こうして韓国にレッドパールを持ち込んだ韓国人の名は金重吉氏(85)。現在も慶尚南道で農家を営んでいる。小誌記者は、現地を訪ね、金氏を直撃した。

 金氏は流暢な日本語で当時を振り返る。

「日本の農業技術の高さは知っていました。その技術を使ったイチゴを作れば、韓国で百円のものが日本では千三百円で売れる。それで栽培、輸出を行いたいと思い、韓国の気候に合ったイチゴはないかと仙台や栃木、茨城、静岡など各地を訪ね歩きました」

 そして、西田氏を知り、韓国で栽培し、日本に輸出する計画を話したという。

「交渉の末、西田さんから提示された条件は『期限を設けた上で毎年、一定のロイヤリティを支払う』、『種苗を人に売ってはいけない』というものです。当然です。その条件で契約を結びました」(同前)

 こうして金氏は、九〇年代半ばに種苗を持ち帰り、周辺の農家と共同で栽培を始めた。ところが00年代に入ると、異変が起こる。

「西田さんから『名古屋でレッドパールが凄く安い値段で売られている』と連絡があった。驚きましたが、調べてみると私が種苗を分けていた農家が勝手に『隣にも少し分けてあげた』という話がいくつもあった。輸出業者にも〝契約があるんだ〟と掛け合いましたが、手の打ちようがないところまで広がっていました。韓国にはライセンスという概念がなかった。もうメチャクチャですよ」(同前)

 当時の韓国では、品種を保護する法律はほとんど整備されていなかったが、結果的に、金氏は〝種苗泥棒〟に手を貸すことになってしまったのである。

 同時期、「章姫」も韓国で無断栽培され、日本に逆輸入されていたことが発覚。ここから日韓両政府を巻き込んで「ロイヤリティ紛争」が勃発する。「章姫」の開発者・萩原氏の息子の和弘氏が語る

「両国政府の担当者を交えた日韓の話し合いの場で、韓国側は『法律がないのに何が悪いんだ』という態度で怒っている口ぶりでした。ロイヤリティの交渉では、百万円の〝お礼金〟と、韓国旅行とメダルを提示してきましたが、それでは弁護士費用にもならないと断って、決裂しました」

 〇六年五月二十二日付の韓国紙「農業人新聞」は、韓国農林部の発表としてこう報じている

〈東京で韓日ロイヤリティに関する二回目の協議が開催されたが、日本側の過度な要求のため決裂した

 長年の「無断栽培」は棚に上げて、「過度な要求」とは、盗人猛々しいというほかない。

 一方で、前出の金氏は再度、宇和島に西田氏を訪ねたというが――。

「契約の延長を頼もうと思ったのだが、西田さんは憔悴しきっていて、『イチゴはもういいよ』と。ロイヤリティの金額を切り出す間もなかった」(金氏)

 だがその後、育成者権を守るユポフ(UP0V)条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)が国際的な広がりを見せ、韓国も批准せざるを得なくなる

「韓国のイチゴがユポフの対象になるのは一二年からですが、その動きが出てきた一〇年頃から政府としても〝準備〟を進めました。ロイヤリティ問題が発生する前に交配を進め、新しい品種を作るということです」(慶南農業技術院園芸調査部のアン・ジェウク博士)

 つまり、無断栽培と並行して、政府ぐるみで確信犯的に〝新品種〟の開発を進めたというわけだ。

 現在、韓国最大のシェアを占めるのは前出の「雪香」だが、韓国にはこれを開発した「イチゴ英雄」なる研究者がいる。忠南農業技術院論山イチゴ試験場長の金テイル氏だ

 同氏に電話すると「取材は受けたくない」としながらも、こう言い切った。

「元々ある二つの品種を交配し、別の品種が生まれたら、それは新品種です。日本で騒ぎになっていることはニュースで知っていますが、自分はあくまで技術者なので、法律とかロイヤリティのことはよくわからない。日本の農水大臣が言っている『元は日本の品種』というのは間違っていません。ですが、今は〝国産化〟に成功し、韓国内の九〇%を占めているわけですから」

 確かに、国外の既存種を交配に用いること自体は違法ではないが、イチゴのケースは「氷山の一角」(前出・農水省種苗室)というほど、国産品種の流出の実態は深刻だ。

◇イチゴのケースは「氷山の一角」

 一三年四月には、福岡県が開発した世界で初めての種なし甘柿「秋王」の苗木十九本が盗まれる事件が起こった。「秋王」農家の一人は「証拠があるわけじゃない」と断った上で、こんな疑念を口にする。

「苗が育って新品種として発表できるまで、三、四年かかるんですが、日本と韓国でほぼ同時期によく似た新品種が市場に出回るわけです。私ら、韓国にいくと、『あれ、なんで日本の品種が韓国にあるの?』ってびっくりします。我々もプロなので、やっぱり味とか苗とかみれば、わかりますよね……」

〝真相は薮の中〟だが、流出への対策はあるのか。

「(ユポフ条約を批准する)世界各国で日本品種を品種登録するしかない。それを経済的に支援する措置をとっています」(前出・農水省種苗室)

 一方で韓国産イチゴの輸出にも陰りが見られる。年間百億円の輸出量を誇る韓国最大の「晋州水谷イチゴ輸出農団」の担当者が語る。

「過剰生産の問題が出てきています。イチゴの市場規模は決まっているのに対し、近年は温暖化の影響で、北部にまでイチゴ栽培が広がっているのも一因です。輸出量も最盛期よりは減少し、将来の収益維持に懸念があります」

 日本から盗んだ技術で大量生産し、低価格路線で一気に市場を独占した挙句、マーケットを壊していく――サムスンを始めとする韓国企業の〝焼畑ビジネス〟と全く同じ構図だ。

〝カーリング娘〟によって明らかになった「日韓イチゴ戦争」の実態は、まったく甘くないのである。


>西田さんから提示された条件は『期限を設けた上で毎年、一定のロイヤリティを支払う』、『種苗を人に売ってはいけない』というもの

↑が事実でも、↓のように「私が種苗を分けていた」を何らかの対価もなく行われたと思う人は、日本にも韓国もいないでしょうね。


>私が種苗を分けていた農家が勝手に『隣にも少し分けてあげた』という話がいくつもあった。


金重吉氏が何らかの対価(たとえば、委託栽培による事実上の販売や地域での地位向上支持)を求めて周辺の農家に提供し、その農家が何らかの対価を要求しながら・・・でしょうね。



2018年03月08日