(東亜日報 韓国語 2018/02/05)

世界で金属活字で刷られた最も古い本で、フランスに保管されている『直指心体要節』(1377年刊行・以下直指・写真)の初の国内展示が国会の‘立法不備’で霧散する危機に直面した。直指のレンタル条件としてフランス政府が提示し、韓国側が受け入れた『差し押さえ免除法』の通過が最近挫折したことによるもの。特に国会が地方選挙を控え、文化財還収に敏感な世論の顔色だけ窺って、130年ぶりの直指の帰郷が難しくなったという批判が出ている。

1_R
▲ドイツのグーテンベルクより78年前の1377年、清州の興徳寺で刊行された世界で最も古い金属活字本だ。下巻の表紙(左側写真)にはフランス国立図書館の印章が鮮明である。本文(右側写真)の最後のページに『鋳字印施(鉄を注いで作った文字で刷って配布したという意・赤い線)』が鮮明に写っている。上巻はまだ発見されていない。

国会教育文化体育観光委員会と主務部処(省庁)である文化体育観光部(省に相当)によれば、共に民主党パク・ギョンミ議員が国立中央博物館と協議の下に推進してきた『博物館および美術館振興法改正案(一時的差し押さえ免除法)』の発議をあきらめるという意向を1日、政府に通知した。パク議員は昨年12月と先月の2回にわたって公聴会を開き、改正案発議のための署名まで終えた状態であった。

改正案の核心は、一時的差し押さえ免除条項。海外にある私たちの文化財を国内に搬入して展示する間、韓国政府が差し押さえや没収を禁止するというもの。外国政府に“安定的返還”を担保するための条項である。アメリカ、日本、フランスも外国との文化交流のために類似の法規を置いている。だが、法案の準備過程で一部の市民団体が海外文化財差し押さえ禁止に否定的な意見を表明してきたという。

◇フランス、韓国が『直指』を展示後に返却するのか懸念

共に民主党関係者は「6月の地方選挙を控え、各地域で発言権がある一部の在野史学者が市民団体を通じて反対世論の醸成に出た」と伝えた。パク議員側関係者は「実際に法案の署名を集める過程でも地方区で逆風を懸念する議員が少なくなかった」と打ち明けた。

しかし、直指は1886年にフランスの外交官として韓国に赴任したコラン・ド・プランシ(Collin de Plancy)が購入して自国に持って行ったものなので、不法略奪文化財ではない

政府は今年、高麗建国1100周年を迎え、12月に国立中央博物館で『大高麗展』を開くことにしながら、フランス国立図書館に所蔵されている直指をはじめ、日本とヨーロッパ各国にある高麗仏画を持って来て展示する案を推進している。このうち、1890年頃にフランスに出て行った後、これまで一度も国内で公開されたことがない直指を持って来るのに総力を挙げた。これに昨年3月、フランス国立図書館から直指のレンタルに対する肯定的な回答を聞いたが、重要な前提条件が一つ付いた。差し押さえ免除法を作ってこそ直指をレンタルすることができるというのである。

国立中央博物館側は「文体部長官(相)名義の返却確約書を書く」と説得したが、フランス側は昨年、韓国裁判所の対馬仏像引き渡し判決を取り上げて、差し押さえ免除法を要求した。これに先立ち、2012年に韓国窃盗犯が日本,対馬で盗んだ高麗仏像に対し、昨年1月、大田地法(地裁)が日本寺刹の還収要求を拒否し、忠清南道瑞山市の浮石寺に仏像を引き渡すように判決した。判決後、海外の主な博物館や美術館が韓国文化財に対する展示レンタルを忌避している。自分たちが所蔵した文化財まで韓国に行けば押収されかねないという不安感のためだ

文体部は、パク議員が発議をあきらめた後、差し迫る展示日程に合わせるために他の議員を通じて立法を打診しているが、まだ快く応じた議員はいない。国会関係者は「他の議員も差し押さえ免除法に対する一部市民団体の批判に耐えることができないだろう」と話した。

文体部関係者は「今年12月の展示に直指を公開するには、今月の臨時国会中に法案が通過されなければならないが、現在の状況では今年の直指展示は難しい」
と話した。一部では政府が国会にだけ責任を押し付けずに、外交ルートを通じて他の代案を積極的に模索する必要があるという指摘も出ている。(機械翻訳 若干修正)


こんな法が出来てしまったら、市民団体が売名で訴訟を起こせなくなりますもんね。