(朝日新聞 2017/12/09)

 逮捕された北朝鮮籍の乗組員が乗った木造船は9日午前7時45分ごろ、海上保安庁の船に引かれて、北海道函館市の函館港中央埠頭(ふとう)に接岸。直後に道警の警察官や海保の職員らが一斉に乗り込んだ。

 午前8時ごろ、船内から「逮捕、逮捕!」と叫ぶ声が上がった。乗組員は、複数の警察官らに両脇を抱えられたり、わめき声を上げて激しく抵抗したりしながら順次下船。最後の1人は担架で運ばれ、30分ほどかけて全員が船を下りた。

 逮捕された3人は無人島・松前小島の物置から発電機を盗んだとされる。物置を所有する松前さくら漁協によると、物置と小屋から家電や漁具などが盗まれており、被害総額は約790万円に上るという。佐藤正美組合長は9日、「被害の大きさを考えれば、逮捕は当然かと思う。これで真相が解明されるはず。今後の捜査に期待したい」と話した。(阿部浩明、弓長理佳)


(朝日新聞 2017/12/09)

 北朝鮮から来て北海道松前町沖の松前小島に着岸したとみられる木造船の乗組員が発電機を盗んだとして、北海道警は9日、乗組員の男3人を窃盗容疑で逮捕し、発表した。道警はこれまで任意の事情聴取を続けてきたが、8日に乗組員が船を航行させて逃走を図るような動きをみせるなどしたため、強制捜査が必要と判断した模様だ。道警は3人の認否を明らかにしていない。

 逮捕されたのは、いずれも自称で北朝鮮国籍の船長カン・ミョンハク(45)、船員リ・ヨンナム(32)、船員リ・トンナム(59)の3容疑者。発表によると、3人は島に到着してから11月末までの間に、島の物置にあった発電機1台(約65万円相当)を盗んだ疑いがある。道警は今後、ほかにも関与した乗組員がいないか調べる。

 木造船は同月28日、松前小島に着岸しているのが確認され、翌29日には海上で漂泊しているのが見つかった。その後、海上保安庁の立ち入り検査で、船内から家電製品などが見つかった。一方で、無人島の松前小島の施設では発電機や家電製品などがなくなっていた。

 今月6日、船員は道警の事情聴取を拒否。8日午後には、巡視船とつながっていたロープを切断して、船を動かした。道警は逃亡を図ったとみている

 道警によると、木造船の乗組員は10人で、氏名、生年月日、顔写真が載った手帳を持っていた。手帳にはハングルで「船員証」「朝鮮民主主義人民共和国」と記載されていたという。乗組員の説明では、9月に北朝鮮の清津港を出港。日本海でイカ漁をしていたが、約1カ月前にかじが故障し、荒天のため、松前小島に避難したという。

 乗組員10人のうち1人は腹痛を訴えて入院、ほかの1人は船員間のトラブルで6日夜に海保の船に移っていたという。(磯部征紀、布田一樹)

◇木造船発見からの経緯

11月28日午後 北海道・松前小島にいた木造船を道警のヘリが見つけ、第1管区海上保安本部に通報。海保が船上と島に人がいるのを確認

29日 海保が松前小島の北東約13キロの海上で木造船を発見。乗員は「乗組員は10人で北朝鮮国籍」などと説明

30日 海保が立ち入り検査。船内にはテレビなどの家電製品があった

12月4日 松前小島の小屋の中が荒らされ、テレビや冷蔵庫などがなくなっていることが判明。乗組員1人が腹痛を訴え、病院へ搬送される

6日 乗組員全員が道警の任意聴取に応ぜず

8日 函館港沖の巡視船に係留中の木造船がロープを切断して離れる。海保の船が追走して停止させ、再び係留

9日 乗組員3人を逮捕


逃走を図ったときの様子と物置の状態↓






取り調べでは「『船での取り調べの時とは違い、取り調べに積極的に応じている。取り調べ以外の時間は、日本語がわからないので特別に韓国ドラマのDVDや雑誌を提供したところ、熱心に見ていた』と公表してから釈放するぞ」ですかね。