(朝鮮日報 2017/12/04)

 与党共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は3日、中国共産党が主催した「世界政党幹部との対話」の基調演説で、「新世代の設計師である習近平主席が提唱する『2つの百年』と『中国の夢』が世界の平和と繁栄に貢献すると期待し、確信している。『時代は思想の母』と叫んだ習主席の言葉に強く共感する」と述べた。

 秋代表は中国共産党の宣伝メディアの表現をそのまま引用し、習近平主席と中国共産党を称えた。秋代表は「不忘初心、牢記使命」(初心を忘れず、使命を銘記する)という言葉を引用し、「今回の会合が全世界の政党指導者に『守るべき初心』『銘記すべき使命』が何かを振り返る立派な機会になったと確信する」と述べた。「不忘初心、牢記使命」という言葉は習近平政権2期目スタート直後の10月31日、習主席ら最高指導部7人が中国共産党第1回党大会が開かれた上海などを訪問し、「初心を忘れず、使命を銘記し、永遠に努力してこそ、中国共産党は永遠に若さを保てる」と発言したことにちなんでいる。

 秋代表はまた、「大韓民国国民は全世界が驚く『ろうそく革命』で民意に反する道を歩んだ政権を弾劾し、文在寅(ムン・ジェイン)政権を誕生させた。これは即ち『依法治国』(法による国家統治)の模範を示したものだ」と指摘した。依法治国は一党独裁を支える中国共産党式の法治概念だ。秋代表は「韓半島の平和と東アジアの安定、世界人民の安寧のために役割を果たしていく」とし、平昌冬季五輪に対する支持も求めた。


(朝鮮日報 2017/12/04)

 北朝鮮北西部・平安北道の新義州と鴨緑江を挟んだ向かい側は中国の丹東だが、そこから北にさらに30キロほど行くと、八三油類貯蔵所が見えてくる。これは北朝鮮に続くパイプラインのスタート地点だ。ここから平安北道の精油施設である烽火化学工場まで、およそ30.3キロのパイプラインを通じて年間約100万トンの原油が北朝鮮に送られている。中国がこのパイプラインを何カ月かストップするだけで、北朝鮮は大きな打撃を受けるし、あるいはこれによって北朝鮮の核問題にも変化が起きるかもしれない。しかし中国はそれをしない。米国の自由アジア放送は3日「北朝鮮の軽油価格は先月初めに比べて60%、ガソリン価格は25%下がった」と報じた。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功した状況にあっても、中国は相変わらず北朝鮮への原油供給を続けているのだ。

 中国共産党と世界の政党とのハイレベル対話に出席した韓国の与党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)代表は1日、習近平・国家主席と記念写真を撮影した際「韓半島(朝鮮半島)の平和と安定に向けた努力に感謝したい」と述べた。北朝鮮が核とミサイルの開発を進めるに当たり主要な輸入ルートとなっているのは中国だ。北朝鮮がいかなる挑発を行ったとしても、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を支援するのはやはり中国だ。しかし中国はあくまで防衛のために設置された韓国のTHAAD(高高度防衛ミサイル)については野蛮な報復を行っている。秋氏は中国がやった何について感謝をするというのか、一度聞いてみたいものだ

 秋氏は3日、この会議での基調講演で「『新世代の設計士』となっている習主席が呼び掛ける『中国(の)夢』が、世界の平和と繁栄に貢献することを確信する」とも述べた。「中国夢」とは「中華民族の復興」を意味する。しかしこの中華民族主義によって韓民族がこれまでどのような被害を受けてきたのか知っていれば、こんな内容は口にもできなかったはずだ。実際にもし習近平時代の中国が中華民族の復興を本当に成し遂げれば、隣国の主権は簡単に踏みにじられてしまうだろう。そのため世界がこの中国の夢を警戒しているのだが、韓国の代表だけは中国の夢が実現することを願っているようだ

 今年5月に文在寅(ムン・ジェイン)大統領の特使としてイ・ヘチャン議員とその一行が習主席に会ったが、その際習主席はテーブルに座って会議を主催し、特使一行はその会議に参加するという形が取られていた。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クンヘ)政権当時は大統領特使が中国に行くと、常に習主席と並んで座り対話を交わした。ところがイ・ヘチャン特使一行の席は習主席が香港行政長官を接見するときと同じような形になっていた

 韓国で現政権発足後、中国は韓国を露骨に「格下」として取り扱っている。ところが韓国政府も与党もこれに抗議するどころか、逆に萎縮しているようにも見える。秋氏が中国の指導部に「THAAD報復に対する韓国の立場」を堂々と訴えることまでは期待していなかったが、それでも秋代表がここまで卑屈になるとも思わなかった。これこそまさに新たな形の「事大」だ。与党は「堂々とした外交」などと口にはするが、中国だけはその例外になっているようだ。