(朝鮮日報 2017/09/26)

人工降雪など気象支援目的で導入も気象庁・メーカーで手続き不備

 韓国気象庁が「平昌冬季五輪開催成功のため気象支援事業に投入する」として総事業費192億ウォン(約19億円)をかけて米国から導入した多目的気象観測用航空機が、基本的な書類さえ準備できずに国土交通部(省に相当)の堪航能力検査で不適合判定を受けていたことが25日、確認された。堪航能力検査とは、航空機が安全に運航きる基本的な要素を備えているかどうか評価するための基礎検査のことだ。この多目的航空機が検査の第一段階で通過できなかったことから、来年2月の平昌冬季五輪(来年2月)に間に合わないのではと危ぶむ声も出ている。

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 気象庁が25日、国会の申普羅(シン・ボラ)議員=自由韓国党=室に提出した資料によると、この航空機は8月30日に韓国に到着した。気象庁は2012年に航空機導入事業を開始し、「15年11月に国内導入を完了させたい」としていたが、これまで相次いで欠陥が発見されたり、行政手続が遅れたりして、当初の予定より2年近く遅れた。ところが、やっとのことで韓国に来た航空機が、整備記録など基本的な書類が未提出であることから、同部の堪航能力検査の結果、「不適合」と判定されていたことが分かったのだ。

 気象庁側は「不備書類を補完して来月再び判定を受ける」と明らかにした。

 気象庁は、平昌五輪気象支援や台風・黄砂観測などの名目で予算192億ウォンをかけて12年から気象観測用航空機の導入を推進してきた。この航空機の導入が正常に行われていれば、平昌五輪開幕までに人工降雨・降雪実験および各種気象支援能力に対する実質点検が行われる予定だった。ところが、来月の同部堪航能力検査に合格しても、平昌五輪支援という当初の目的を達成するには日程的に非常に厳しいという見方がある。

 このような状況になってしまったのは、気象庁のずさんな事業管理や、航空機納品契約を行ったA社の資質不足などが原因として挙げられている。もともとA社は鋼管・パイプ製造会社だったが、気象庁が13年2月に気象観測用航空機の納品入札公告を出すと、「航空機部品製造業」を事業分野に加えて応札した。A社は多目的航空機の製造過程で非公認部品を使用していたことが発覚、納品を拒否されるなど納品期日を守れないことが多く、現在173億ウォン(約17億円)の遅延賠償金が課されている


8月30日に韓国に到着する前の経緯↓

(週刊東亜1093号 韓国語 2017/06/16

気象庁の多目的気象観測航空機(気象観測機)運営が導入の過程から総体的な問題で墜落の危機を迎えている。気象観測機の導入は韓半島(朝鮮半島)周辺の海上で接近してくる台風、集中豪雨、黄砂など危険気象現象を観測し、原因を究明するために予算192億ウォンを投入して2012年から推進された事業だ。

予定の通りならば、昨年に気象観測機を現場に投入するはずでしたが、改造→導入→受け取り不可判定→返送→再改造の過程を経ながら、まだ再導入の日程さえ確定することができずにいるたとえ再改造するとしても、当初気象庁が掲げた条件をはるかに下回ると予想され、本来の役割をするのは難しいという指摘も出ている。気象庁は、気象観測機を『2018平昌冬季オリンピック』に備えて人工降雪にも活用する予定なので、いくら遅くとも今年の下半期には観測および人工降雪など気象支援業務に投入しねければならないが、事実上、水泡に帰したという分析だ。

◇初めから誤った観測器導入

気象庁は2012年3月、気象観測機の導入事業発表当時、「2012年内に航空機内部の改造設計を完了した後、契約、改造、国内導入、検収などの過程を2015年までにすべて終える」と明らかにした。導入事業が予定通りに進行されていれば、昨年から気象観測機が運営されるはずであった。だが、1年半が過ぎた今、気象観測機は韓国にない。

気象観測機の導入は最初のボタンから誤ってとめられた。2013年2月、気象庁は気象観測機供給入札公告を出した。入札は△供給会社の事業遂行能力△航空機任務遂行能力△航空機メンテナンスの容易性などを評価する技術能力評価(80点)と入札価格評価(20点)点数を合算し、最終的に入札業者を決める方式だった。

入札には、インドネシアの防衛産業関連企業『PTDI』と国内中堅企業『A社』(たぶん『デジュイーエヌティ(DaejooENT)』)が参加したA社は建築用鋼管、パイプなどを大企業に納品する企業で航空機関連の事業は初めてだったA社は経験不足を埋めようとアメリカの気象観測企業であり、航空機改造事業も行う『SPEC(Stratton Park Engineering Company)』と協約を結んで入札に参加したと伝えられた。

PTDIはスペインの航空機メーカー『カーサ(Casa)』の『C-212』を、A社はアメリカ『ビーチクラフト(Beechchaft)』の『キングエア(Kingair)350HW』を気象庁に供給する航空機として提示した。両社は該当航空機で2013年3月13日、技術能力評価を受けた。その結果、PTDIの航空機が100点満点中64.34点で非適格判定を受け、A社のキングエア350HWが85.54点で最終的に選ばれた。気象庁はその年5月21日、A社と正式に航空機供給契約を締結し、事業費として162億ウォンを支給した

A社は圧倒的な点数差で入札に成功したが、キングエアは気象庁の入札基準にはるかに及ばない航空機であった。気象庁が調達庁を経て公表した技術能力評価基準によれば、〈20人以上を乗せて飛行が可能なこと〉が必須項目と指定されている。だが、キングエア350HWには最大11人までしか搭乗することができない。一部では、A社が気象庁の高位幹部の高校同窓を迎え入れて入札に成功したという話まで出回った

これに対し、気象庁は「外部専門家が技術能力評価をしたので、特典が作用する余地はなかった。評価基準表上の必須項目も点数を付与する基準の一つに過ぎない。このために必須項目を満たせなくとも、技術能力評価のうち他の項目で高い点数を受けてA社が適格業者に選ばれた」と釈明した。

だが、調達庁が各入札業者に発送した評価項目関連の提案要請書には〈必須項目は多目的気象観測機の任務遂行において絶対的に重要な項目〉と明示されている

◇基準に合うものが殆どない航空機

必須項目を満たしていないのは搭乗人員だけではない。キングエア350HWは天気が悪ければ着陸が不可能だ。気象状態が悪ければ操縦士が肉眼だけで見ながら着陸することが難しいので、安全な着陸を助けるため航空機には計器着陸システム(ILS)が搭載される。ILSは精巧さによってCAT等級に分かれるが、評価基準によれば、気象観測用として導入される航空機はCAT-Ⅱ等級の着陸能力を備えなければならない。この等級は300m以上の距離で滑走路の光を見ることができる程度の視野だけが確保されても航空機の着陸が可能な水準だ。だが、キングエア350HWにはCAT-Ⅱ等級のILSが搭載されていない。ある航空機操縦士は「該当航空機を改造してCAT-Ⅱを付けることはできるだろうが運用は難しいものと思われる。キングエア350シリーズを運行してCAT-Ⅱを使用してみた操縦士がいないので、関連教育をする人がいないため」と明らかにした。

評価基準の必須項目にはILS装備の他にも△主エンジン始動前にエアコン装置と電力を航空機に供給できる補助動力装置(APU)垂下物4,300lbs(約1,950kg)を載せて2万ft(6,096m)で最大1,350nm(約2,500km)を飛行できることなど必須充足項目が明示されている。だが、キングエア350HWはこの中のどれも満たすことができなかった。

アメリカ連邦航空局(FAA)が発行するキングエア350HWの形式証明書によれば、キングエア350シリーズにはAPUが搭載されていないことが明らかになった。キングエア350シリーズの製品カタログを見ると、燃料などインテリアを含んだ最大積載重量は7,145lbs(約3,241kg)だ。だが、飛行に必要な燃料と座席などを備えれば最大垂下量は3,545lbs(約1,608kg)に減る。これに気象観測装備まで載せる場合、最大垂下量はさらに減るしかない。

飛行距離も気象庁が掲げた条件を満たせなかった。キングエア350HWの飛行教範によると、内部燃料タンクには最大539gal(約2,040リットル)の航空燃料が入る。内部燃料タンクをいっぱいに満たして高度2万ftを維持して飛行した場合、キングエア350HWは最大1,100nm(約2,037km)を飛行することができる。外部燃料タンクまでいっぱいに満たす場合、最大1,700nm(約3,148km)を飛行することができるが、この場合、燃料重量のために気象観測装備を載せることはできない

その他にも、気象観測機は予備燃料での45分間の飛行を除いても6時間以上の飛行が可能でなければならない。しかし、飛行教範を確認した結果、キングエア350HWは燃料をいっぱいに満たしても最大5時間しか運航できない。

A社は、アメリカでキングエア350HWに気象観測装備を搭載するなどの改造を経て、2015年10月に国内に持ち込んだ。2015年下半期導入という当初の気象庁の計画に合わせるためであった。引き続き、11月に気象庁は外部専門家たちと共に改造された気象観測機の検収に出た。やはりまともなものではなかった

◇アメリカから帰れない気象観測機

気象観測機で、台風、黄砂など気象現象を観測するには韓半島周辺の海上でも飛行が可能でなければならない。だが、改造された航空機は海上飛行が不可能だった。海上飛行のための安全装備を備えていないためだ。航空安全法施行規則第110条によれば、海上を運航する飛行機には救命ボート、ライフジャケットなどを備えなければならない。だが、当時、航空機の検収を務めた関係者は「ただでさえ小さい飛行機に気象観測装備を備えたため、救命ボートやライフジャケットを置く場所どころか非常時の乗務員脱出路もまともに確保されていなかった」と話した。気象庁は「今後、航空機に救命ボートなど救急用具を備えて気象観測機の海上運航に支障がないようにする予定」と話した。

検収の結果、任務遂行が不可能な水準の航空機ということが改めて確認されると、気象庁は受け取り不可の判定を下した。気象庁はA社が航空機を改造しながらFAA公認部品を使用せず、航空機改造安全性を保障するFAAの付加形式証明書(Supplemental Type Certificate・STC)でも問題点が相当数指摘されたとし、航空機受け取りを拒否した

これに対し、A社は2015年12月、アメリカに航空機を返送していまだに再改造をしている

気象庁によれば、気象観測機は改造を終え、現在、FAAの検査を受けているところで、検査が終わり次第、検討を経て国内に入ってくる予定だ。気象庁関係者は「改造が完璧になったらCAT-Ⅱ、APUなど航空機の性能に関する問題も解決されるだろう」と話した。

しかし、航空業界関係者は「軽自動車を改造したからといってスポーツカーになれないように改造にも限界がある。航空機の積載量と運行距離を同時に増やすことは不可能に近い」と主張した。

気象庁は納品期限を守ることが出来なかったA社側に、当初の納品期限である2015年11月6日から毎日2,500万ウォンの遅滞賠償金(契約違約金)を支払わせる計画と明らかにした。この基準によれば、来月までもA社が気象庁に航空機を納品できない場合、160億ウォン程の遅滞賠償金を支払わなければならない。

一方、これに対する反論を聞こうとA社に連絡したが「現在、回答する立場いある人が出張のため回答は困難である」と明らかにした。(機械翻訳 若干修正)