(朝鮮日報 韓国語 2017/08/31)

カン・ギョンヒ(姜京希)論説委員

アメリカの自動車会社『GM』が2002年に『大宇自動車』を買収して作った『韓国GM』の撤収説が飛び交っている。数年前から出ていたが今回はもう少し深刻に見える。

往年に世界最大の自動車会社であったアメリカGMにこのような笑い話があった。〈会議の途中に蛇が出てきた。GMの人達はしていた会議をやめて蛇をどのように処理するのか会議した。結論が出ず外部のコンサルティング会社に任せることにした。その間に蛇は行ってしまったよ〉という話がGMの組織文化を風刺するものと広く知られた。長い会議と討論で意思決定が遅かった。愚図よりも深刻なことは放漫な経営だった。この自動車帝国は滅びていくのにも、労組の過度な賃金・福祉要求で従業員と退職者に支払う健康保険補助金だけで年8兆ウォンに達した

今のGMは蛇も疲れて逃げるというそのGMではない。2009年に破産してアメリカ政府の公的資金で起死回生した新GMだ。この過程で労組も苦痛を分担をし、原価を削減した。新GMは『選択と集中』で急速にグローバル事業も構造調整している。赤字を出すオーストラリア、ロシア、インドなどから次々と撤収した。2014年に就任した女性CEOメアリー・バッラ(Mary Barra)会長は構造調整にさらにスピードを出す。

このような環境で、GMの小型車前進基地であった韓国GMの事情が急激に悪くなった。本社がヨーロッパ事業などを整理したため、一時、完成車と半組み立て品を合わせ200万台以上生産して輸出した物量が、昨年は125万台と40%も急減した。2014年から3年間の累積赤字が2兆ウォンに達する

弱り目にたたり目で、GM本社が韓国GMを勝手に処分できないように産業銀行と合意した条項が、来る10月16日に終了する。このような状況なので撤収説が増幅されている。

先日、国会議員会館でホン・ヨンピョ共に民主党議員の主宰で、韓国GMの状況を診断する討論会が開かれた。この席に来た韓国GM労組員からも雇用不安に対する切迫さが強く感じられた

ところが、残念なことはこのような危機にも労組の考えと対処方法がほとんど変わっていないという点だった

「会社がまとめた経営実績が信じられない」「人件費の実状が誤って伝えられている」「大宇自動車をGMに売らずに国有化しなければならなかったのに、安値で売り渡してこのようになった」と糾弾する労組員もいた。

「韓国GMがさらに透明な経営をするように政府が具体的な対策を用意せよ」「完全月給制を施行せよ」とも主張した。

労組の指摘のように、GM本社がまとめた韓国GMの実績に釈然としない点もある。それでも今、労組がしなければならず、決心すればできることは、まず自ら変化することだ。これまでGM本社は韓国の強硬な労組に何回も警告メッセージを送った。アメリカ本社でメアリー・バッラ会長に会った知人が聞かせてくれた話だ。メアリー・バッラ会長は彼に『GMのグローバル事業場の賃金上昇率の図表』を見せ、他の国より唯一賃金が急激に上がった韓国のグラフを指して「どうか労組をちょっと説得してほしい」とした。韓国は高コストの事業場として、いわゆるブラックリストに入っている

韓国GMの実績が悪くなったのがもっぱら賃金引き上げのためだけではないが、放漫な経営と強硬な労組で滅びたことがあるGMとしては、それを口実に韓国事業を縮小する公算が大きい。

そのような兆候に不安に思いながらも労組は毎年賃金の引き上げを要求し、通常賃金の問題も提起して悪手を置いてきた

彼らに1年前にコラムで紹介した国際生活用品会社『P&G』の日本工場の事例をぜひもう一度聞かせたい。

8年前、人件費の高い日本の代わりに中国に生産ラインを移される状況だった。失職の危機に直面した日本の労働者たちは、韓国の労組のように政界に泣訴し、「工場移転絶対反対」の抗議闘争をするやり方で対処しなかった。本社の経営陣を訪ねて行って経済論理で丁寧に説得した。「匠の精神を発揮し、より良い製品を、より安くし、会社の状況を改善したい」とした。原価をわずか1セント(11ウォン)でも下げようとアイディアを絞り出し、製品を改善する革新を数年間続けた。その切実な現場革新おかげで、日本パンパースのおむつの生産原価が中国の平均原価より低くなった。昨年、P&G本社は日本工場を閉めるどころか増設した。代わりに中国の生産ラインを減らした。現場で毎日積んだ“1セントの奇跡”が声を高める闘争より意味ある成果を成し遂げた。

韓国GMが撤収すれば1万6,000人が職を失い、協力会社を含めて30万人に影響を及ぼす。ひとまず韓国GM側は撤収説は否定した。すぐの撤収も容易ではないだろう。だが、生産性と労組文化が改善されなければ、徐々に韓国事業場を縮小して行く可能性は高い。この危機に韓国GM労組はどんな選択をするのか。今までのように上級労組と手を握って自縄自縛の闘争だけを続けるのか。日本の労働者たちのような感動ストーリーでGM本社を積極的に説得する意向はないか。(機械翻訳 若干修正)


 彼らはどのように職場を守ったのだろうか
(朝鮮日報 韓国語 2016/08/04)

カン・ギョンヒ(姜京希)経済部長

7年前、世界的生活用品会社『P&G』の赤ちゃん用おむつ『パンパース』を生産する日本工場の労働者300人余りが職場を失って路頭に迷う危機に直面した。競争力落ちる日本工場は閉めて、生産ラインを中国に移すことが明白な状況が近づいたためだ。すでに同じ工場の中にあった生理用ナプキンのラインは中国移転が表面化した時点だった。

パンパースは歴史が半世紀以上の紙おむつブランドだ。ヴィクター・ミルズ(Victor Mills)というこの会社のエンジニアが孫のために良いおむつを作ろうと開発し、1961年にアメリカ市場に出したて以降、世界1位のおむつブランドになった。だが、日本市場では成績が芳しくなかった。当時、パンパースは日本現地のおむつに押され、日本国内シェアが4位にとどまっていた。アメリカの赤ちゃんに合うように作られた製品のため日本の赤ちゃんの体形には合わなくて、日本の母親たちの反応は冷ややかだった。ただでさえ赤ちゃんの出生が少なくておむつ市場が停滞した上、消費者からもそっぽを向かれるので、本社次元では“落第生”の日本工場を閉めて、“有望株”の中国市場に工場を移すことが当然だった。地価も安く、人件費も安い上、急成長する市場を置いた中国がどの面からも見ても日本より有利な立場だった。

ところが、失職の危機に直面した日本パンパース工場の労働者たちは格別に対処した。工場長とR&D担当などが労働者を代表し、日本法人に出向していた本社経営陣を訪ねて行った。頭に真っ赤な帯を巻いて「工場移転絶対反対」のような抗議訪問をしに行ったのではなかった。彼らは消費者相談室に寄せられた消費者の不満などを提示し、「匠の精神を発揮し、より良い新製品を、より低い原価で作り、会社の状況を改善したい」と経営陣を説得した。その場に参加した経営陣が彼らの説得に粛然としたという。「私たちは売上指標だけを見て日本工場を移すべきかどうか悩んだ。ところが工場の人達に会って真心が感じられた。家族を養う職場が消えるかも知れないという彼らの切迫さ、その職場を自分たちの努力で見守るという切実さが響いた。」

日本パンパース工場は工場移転を防ぐため、その年だけ一時的に革新したのではなかった。原価をわずか1セント(約11ウォン)でもさらに下げるためにすべてのアイディアを絞り出し、日本の赤ちゃんにさらによく合うおむつに製品を改善していく革新を今まで7年間続けてきた。

その切実な現場革新は期待以上の成果で戻ってきた。現在、日本パンパース工場の生産原価は中国パンパースの平均原価よりも低くなった。製品はより良い。日本国内の売上が2倍に跳ね上がり、シェアは1位になった。噂が広まり、ついには中国の富裕層消費者も『メイド・イン・チャイナ』パンパースの代わりに『メイド・イン・ジャパン』パンパースを求めはじめた。すると、今年、本社で新たな決定を下した。これまで中国パンパース工場では価格帯別におむつを4等級に分けて生産してきたが、中国内の最高級生産ラインを減らし、代わりに日本工場で作ったおむつを中国に持って行き売ることにしたのだ。生産量が2倍に増えて日本工場には中国輸出用生産ラインも増設した。工場を閉める境遇であった邪魔者の日本工場が、わずか数年でグループ内のアジア主要生産基地に跳躍したのだ。

日本おむつ工場の労働者たちが職場を守るために選択した方法は、激しい闘争や抵抗でなく、現場で編み出した小さいけれど意味ある革新だった。経営学の大家も注目する“ディテールの力”だ。

グローバル経済では、国境を間に置いて雇用が大量に移り、どっさり奪われる戦争が繰り広げられる。韓国でもほぼ同様に雇用が消えてきたと思えば良い。政府は昨年、外国人直接投資が10%も増えて史上最大値を記録したと歓迎するが、外に出て行ったお金と雇用機会を考えれば、韓国の成長と雇用が停滞した理由を簡単に察することができる。去る10年間、韓国に流入した外国人直接投資額は940億ドル。反対に韓国企業が海外に工場を作って投資した直接投資額はその2.6倍ほどになる2445億ドルだ。純流出のお金を雇用機会に換算すると140万口ほどの雇用が消えたという計算が出ている(韓国経済研究院)。

このような流出を防ぐためには、何より政府次元で規制を緩和し、韓国を起業しやすい環境にして、投資と雇用を誘致するのが重要だが、日本おむつ工場の事例を見れば、それにの劣らず重要なのが労働者たちの労働意識だ。自ら仕事に対する主人意識を持ち、毎日毎日生産現場で“1セントの奇跡”を積み上げるのが職場を守る力だろうか、仕事は漫然としながら事あるごとにストライキをして路上にあふれ出て声を高めるのが職場を守る道だろうか。(機械翻訳 若干修正)


ただでさえ、以前から各メディアが韓国自動車労組の「売上が落ちても賃上げスト」をトヨタの労使関係などを引き合いに出しながら指摘しても変わらないのに、労組の味方(と信じている)ムン大統領が就任したんですからねえ・・・。労組が変えるのは「声をより大きくする」じゃないですかね。