(朝日新聞 2017/08/07)

 東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議に出席するためフィリピン・マニラを訪問中の河野太郎外相は7日、中国の王毅(ワンイー)外相と会談した。王氏は会談冒頭、中国の海洋進出を牽制(けんせい)した河野氏の発言について「失望した」と批判。河野氏も「中国は大国の振る舞いを」と反論した。

 王氏は会談で、「あなたのお父さんは正直な政治家で、歴史の話をすれば(謝罪という)心の態度を表明した」と切り出し、河野氏の父でアジア重視の姿勢で知られる河野洋平元外相に言及。「あなたが外相になると知って、私たちの多くの人が期待を抱いた」と強調した。そのうえで、「今日、東アジアサミット(EAS)であなたの発言を聞いて率直に言って失望した。完全に米国があなたに与えた任務のような感じだ」と批判した。

 日本政府関係者によると、河野氏は7日のEASで、中国が南シナ海で進めている軍事拠点化を念頭に「力を背景に現状変更を試みるあらゆる一方的な行動に強く反対する」と主張。「(中国に対抗するための)米国による『航行の自由作戦』を支持している」と述べた。王氏の発言は、河野氏のこうした発言を踏まえたものとみられる。

 王氏の批判に対し、河野氏は「中国には大国としての振る舞いというものを身につけていただく必要がある」と反論。「何度も率直な意見交換をさせていただきたい」と呼びかけた。また、「私のおやじを知っている方がいろいろな国で大変多い。その息子が、ということで笑顔を向けていただき、親というものはありがたいと改めて思った」とも語った。

 就任まもない河野氏にとって、今回が初の海外出張。6、7両日で6カ国の外相らと個別会談したほか、日本が議長を務めるものも含めて八つの多国間会合に参加した。

 6日に会談したブルネイのリム・ジョクセン首相府大臣は「長年外交に携わってきたが、日本の外相は安倍晋太郎氏と河野洋平氏が特に記憶に残っている」と発言。洋平氏に言及し、河野氏の外相就任への期待感を示した。リム氏は外務次官時代、洋平氏と交流があったという。

 また、北方領土問題で強硬な発言を繰り返すロシアのラブロフ外相は7日の会談で「日本のすばらしい政治家一家の人。洋平氏が日ロ関係で貢献していることをよく存じている」と言及。7日夜に会談する韓国の康京和(カンギョンファ)外相も、洋平氏と親しかった金大中(キムデジュン)大統領の時代に首脳会談の英語通訳を務めた経験があり、洋平氏を評価しているとされる。

 河野氏の本格的な外交デビューとなった今回の訪問は、外相を務め、「ハト派外交」で知られた洋平氏の存在が会談相手の対応を分けた。河野氏は6日夜、現地で記者団に「(父の人脈に)感謝し、アセット(資産)として使わせていただきたい」と述べた。そんな「資産」活用の難しさを、国際舞台でいきなり突きつけられた格好だ。(マニラ=松井望美)


今までであれば「失望した」と言われても、原則論を改めて主張くらいしかしなかったでしょうが、こうして面と向かって中国の姿勢自体を批判したのは良いことですね。

ただ河野外相は、今は特アに阿っていると受け取られかねない発言をして「やっぱり」と言われないように慎重になっているでしょうから当分、様子見ですね。