(朝鮮日報 201707/16)

2兆7000億ウォン投じた「スリオン」、ずさんな開発実態が明らかに
安全性に深刻な問題、監査院が戦力化の中断を勧告

 韓国軍が「名品国産兵器」と宣伝してきた韓国製機動ヘリコプター「スリオン」の開発・戦力化の過程が非常にずさんだったことが監査院の監査で明らかになった。スリオンの開発・量産にはこれまでに2兆2700億ウォン(約2700億円)が投じられている。監査院は17日、スリオン事業を総括している防衛事業庁に対し、欠陥を修正するまで戦力化(納品)を中断するよう通告する予定で、これに伴い今後の量産と輸出にも大きな支障が出る見通しだ。

 監査院は「スリオンのエンジン・機体・搭載装備などに多くの問題があり、機体内部に水漏れすることが確認された。すでに戦力化された約60機も基本的な飛行の安全性すら確保できないまま運営されている」と指摘した。特に監査院は「飛行の安全性に直結する結氷(防止)性能が検証されないまま開発が終了し、これは2015年に3回発生した墜落・不時着事故の直接・間接的な原因となった」と説明した。結氷の問題はヘリコプターの安全性に直結するにもかかわらず、防衛事業庁は12年6月「結氷テストは今後海外で実施する」とした上で「戦闘用として適合」との判定を下した。結氷テストは戦力化から3年が経過した昨年1月に米国で実施されたが、不合格となった。問題を改善するためには部品の設計変更など最低でも2年を要するとの結論が出たが、防衛事業庁はこれを無視し、昨年12月に戦力化を再開した

 監査院は結氷問題を解決しないまま戦力化再開の決定を下した防衛事業庁の張明鎮(チャン・ミョンジン)庁長ら関係者3人について、大検察庁(最高検に相当)に捜査を要請した。


『スリオン』防衛産業不正積弊清算信号弾?…パク政権に向かうか
(イーデイリー 韓国語 2017/07/17)

監査院が16日、韓国型起動ヘリコプター『スリオン』が様々な欠陥と認証基準未達にもかかわらず、無理に戦力化されたという監査結果を発表した。これに伴い、チャン・ミョンジン(張明鎮)防衛事業庁長ら3人を検察に捜査依頼した。去る14日には、スリオンの製造会社である韓国航空宇宙産業(KAI)(社長ハ・ソンヨン(河成竜))に対する押収捜索も行われた。ムン・ジェイン(文在寅)政府の大々的な防衛事業不正捜査が始まった格好だ。

この日、監査院の監査結果によれば、防衛事業庁はスリオンの致命的欠陥であるエンジン結氷問題と機体設計の欠陥が発見され、飛行性能を満たしていなかったが、これらの問題解決を怠って戦力化を強行した。この過程で業務上背任疑惑があり、チャン・ミョンジン防衛事業庁長と韓国型ヘリコプター事業団長、韓国型機動ヘリコプター事業チーム長を検察に捜査要請したというのである。KAIをかばったという疑惑だ

チャン庁長は国防科学研究所(ADD)研究員出身で、去る2014年の就任当時、パク・クネ(朴槿恵)元大統領と西江大電子工学科の同期同窓で注目された。このため、チャン庁長の業務上背任疑惑はスリオン戦力化過程での“トップ・ライン”介入として捜査が拡大する連結の輪になる可能性が高いという話が出ている。

特にKAIに対する今回の検察の押収捜索は突然なことだ。監査院は去る2014年の防衛産業不正特別監査団発足と共に、2015年にスリオン開発事業に対する1次監査に着手した。当時、KAIがスリオン開発過程で原価を膨らませて計算する方式で547億ウォン台の不当利益を得たと判断し、担当職員2人を検察に捜査依頼した。

パク・クネ政府が終るまで1年半以上、本格的な捜査をしなかった検察が、突然これに対する捜査を行う姿とKAI代表理事など経営陣を狙っているという分析が出ている。ハ代表は慶尚北道永川市出身で2011年に退社した後、パク・クネ政府発足直後である2013年にKAIの最高経営者に復帰した。ハ代表の夫人がパク元大統領の宗氏(同姓)であり遠い親戚と知られている。ハ代表の秘密資金造成疑惑も提起されており、検察の調査が以前の政権に対する捜査に転換される可能性があるという観測も慎重に流れている。

今回の防衛事業庁とKAIなどに対する捜査で、一部の国と進めてきたスリオン輸出交渉に困難が予想される。特にKAIの高等訓練機『T-50』のアメリカ輸出関連事業に暗雲が立ち込めかねないという憂慮が提起されている。(機械翻訳 若干修正)

2016年09月23日
2016年05月09日