(聯合ニュース 2017/06/13)

 韓国政府が、旧日本軍の慰安婦問題で被害者らが日本に対し損害賠償を請求する権利は2015年12月の韓日慰安婦合意とは関係なく有効だとの立場を示していたことが13日、分かった。

 慰安婦合意関連の韓国内での損害賠償訴訟の原告側関係者によると、政府は4月末に「慰安婦合意は被害者らの個人の請求権に影響を及ぼさない」との立場を書面で裁判所に提出した。

 韓日慰安婦合意に含まれる「最終的かつ不可逆的な解決」という表現とは関係なく、被害者個人の請求権は依然として有効だとの立場は、政府が新たに示したものだ。

 05年に韓日国交正常化会談に関する文書を公開した後、政府は韓日請求権協定(1965年)の効力範囲に対する立場を整理し、慰安婦問題のような日本の公権力が関与した反人道的違法行為に対しては、日本政府に法的責任が残っていると結論付けた。そのため、政府は韓日請求権協定が慰安婦被害者個人の日本政府に対する賠償請求権に影響を及ぼさないとの立場を堅持してきた。

 慰安婦合意関連の損害賠償訴訟の原告側関係者は、「慰安婦被害者らの個人請求権が有効ならば、政府は個人請求権の実現のために何をするのかについて回答を要求した状況だ」と述べた。

 また、政府は慰安婦合意の法的性格に関し、「政治的合意で法的拘束力はないが、国家間の約束だけに守らなければならない」との立場を裁判所に提出したことが分かった。

 しかし、政府は文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以降、韓日慰安婦合意について点検作業に入り、このような立場を維持するか、変更するかについて検討中だとされる。これに伴い、政府は9日に予定されていた裁判の延期を申請し、裁判所は7月初めに期日を変更した。

 昨年8月に慰安婦被害者12人は、慰安婦合意が慰安婦問題の解決を政府に要求した11年の憲法裁判所の判決と矛盾し、これにより被害者らに精神的・物質的損害を与えたとして生存者1人当たり1億ウォン(約970万円)の慰謝料を求めて訴訟を起こした

 これについてソウル中央地裁は昨年12月、政府側に対し慰安婦合意に法律的にどのような意味があるか具体的に説明するよう求めた。


こんなこと↓が起きるくらいですから、大統領府の中では「再交渉」は既定路線として、あたりまえに会話に出るような雰囲気なんでしょうね。

(聯合ニュース 2017/06/13)

 韓国の青瓦台(大統領府)が13日、女性家族部長官候補に鄭鉉柏(チョン・ヒョンベク)成均館大教授が指名されたと発表し、「慰安婦合意の再交渉」に言及したが、約50分後に撤回するハプニングがあった。

 青瓦台の朴洙賢(パク・スヒョン)報道官は鄭氏の指名を発表し、起用した理由の一つとして、「慰安婦合意の再交渉など喫緊の課題も解決できると期待している」と述べた

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は慰安婦合意に否定的な立場を示していたが、文大統領はもちろん、韓国政府が合意の再交渉を行うと公式に表明したことはない

 朴報道官は約50分後、「合意の再交渉」の部分を削除して訂正発表した

 青瓦台の関係者は「再交渉という言葉はミス」と説明。「(合意の再交渉を)既成事実化するような誤解を招きかねない」と述べた。

 青瓦台が発表文を訂正したのは、外交部の役割である再交渉問題を女性家族部長官の起用と結びつけることは不適切と判断したためだが、合意の再交渉を公にすることへの懸念もあったようだ。

 韓国国内では再交渉を求める声が多く、文大統領も合意に否定的な考えを表明しているが、再交渉という外交的な用語として公式に発表する場合、対日関係に少なからぬ影響を与えかねないと判断したとみられる。

 文大統領は大統領選で、「日本の法的な責任と公式の謝罪が盛り込まれていない合意は無効で、正しい合意になるよう日本との再交渉を促したい」と述べるなど、再交渉が必要との立場を示してきた。

 ただ、大統領就任後は再交渉について言及していない。

 就任翌日の5月11日、安倍晋三首相との電話会談では「国民の大多数が情緒的に慰安婦合意を受け入れられていないのが現実」とし、今月12日に安倍首相の特使として来韓した自民党の二階俊博幹事長に対しては、「合意を韓国国民が受け入れられていないのが現実だ。何より当事者である慰安婦のおばあさんたちがこの問題(合意)を受け入れていない」と述べた。

 ただ、「両国がその(慰安婦)問題にとらわれ、別の問題の発展を防ぐ道に進んではならない」として、「歴史問題は歴史問題で知恵を集めて解決し、別の問題は別の問題として発展させるべきだ」との考えを示した。

 慰安婦合意問題が両国関係全体の発展を妨げてはならず、同問題と経済・安全保障などの問題を切り離す「ツートラック戦略」を推進していく方針を強調したものとみられる。


今後、韓国政府に対して、日本政府としては今まで通り「合意の履行を求める」と言い続けるとして、政府に関係ない自民党議員や野党・日本維新の会の議員などは「再交渉を求めるなら、少なくとも『慰安婦』と遺族の委任状を取りまとめろ」とか言わないとね。

2005年にノ・ムヒョン政権が、請求権協定の効力範囲として“
解決”の枠外にあるものとしたのは、『慰安婦問題』と並んで『朝鮮人原爆被害者問題』と『サハリン残留韓国人問題』でしたが、これもムン政権で取り上げるなら、「まず韓国政府が関係者から“漏れなく”委任状を取りまとめてね」と言っても良いですね。