(NHK 2017/06/04)

中国の北京で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧されて、大勢の死傷者が出た天安門事件から4日で28年となります。中国ではインターネットの通信や情報を規制する法律が施行されるなど、このところ民主化を求める声だけでなく、一般の人たちの言論活動に対する締めつけが強まっていると指摘されています。

天安門事件は1989年6月4日、民主化を求めて北京の天安門広場やその周辺に集まった学生や市民に対し、軍が発砲するなどして大勢の死傷者が出たものです。

死亡した人の数について、中国政府は319人と発表していますが、実際はさらに多いとも指摘されています。ただ、中国政府は再評価する必要はないという立場を崩していません。

事件から28年となる4日、天安門広場やその周辺では未明から警察官や警察車両が数多く配置されていて、厳重な警備が行われていました

NHKの取材班が、多くの死傷者が出たとされる場所に近い地下鉄の駅に向かうと、すぐさま複数の私服の警察官に取り囲まれ「撮影を認めない」として、立ち去るよう求められました

中国では今月から、インターネットに関する新たな法律が施行され、違法と見なされる情報の削除や突発的な事件が起きた際、特定の地域での通信制限を行うことが明文化されました

ことし後半、中国共産党は指導部メンバーの大幅な交代が予想される、5年に1度の党大会の開催を予定しています。習近平指導部は党や政府への批判の広がりを警戒していると見られ、民主化を求める声だけでなく、このところ一般の人たちの言論活動に対する締めつけが強まっていると指摘されています

◇中国政府 事件の再評価は必要なし

1989年の天安門事件について、中国外務省の華春瑩報道官は2日の記者会見で、「1980年代末の政治的な騒ぎや、それに関連する問題について、中国政府はとっくに結論を出している」と述べ、再評価する必要はないという立場を強調しています。

◇NHKの放送も中断される

中国本土では4日午前6時すぎ(日本時間4日午前7時すぎ)、NHKが海外向けテレビ放送、「ワールドプレミアム」で天安門事件に関するニュースを伝えた際、映像と音声が2分近く中断され、画面が真っ黒になりました

中国では中国国内で放送している外国のテレビ局の放送内容を当局が監視し、規制しており、中国政府や共産党にとって都合の悪い内容のニュースなどは放送がたびたび中断されます

今回の放送中断は中国当局が依然として、天安門事件に関する外国メディアの報道に神経をとがらせていることを示しています