(日刊トゥデイ 韓国語 2017/05/23)

現地時間で先月24日、女性宇宙飛行士ペギー・ウィットソン(Peggy Annette Whitson)が宇宙滞在535日で“宇宙で最も長く暮らしたアメリカ人”になった。これはジェフ・ウィリアムズ(Jeff Williams)が立てたこれまでの記録534日を7か月ぶりに置き換えたのだ。

ペギー・ウィットソンの年齢は57歳、アメリカ航空宇宙局(NASA)所属の宇宙飛行士で、本来は生化学を勉強した学者であった。宇宙と全く関連のない学問を勉強していたが、1996年にISS(国際宇宙ステーション)勤務候補者に選ばれて宇宙飛行士訓練を受け始めた。

彼女の記録樹立にトランプ大統領もお祝いの挨拶を伝え、任期内に火星探査をぜひしたいと話した。だが、その当時はジェームズ・コミー前連邦捜査局(FBI)局長を解任する前であったし、『弾劾』という話が出ていなかったため、火星探査に対するトランプ大統領の意志が実現されるかについてはもう少し見守らなければならないようだ。

それなら、宇宙滞在世界最長記録は誰が保有しているのだろうか?

その主人公はロシアの宇宙飛行士ゲンナジー・パダルカ(Gennady Ivanovich Padalka)で通算879日留まった。昨年の国内放送局とのインタビューで彼は宇宙開発分野で韓国との協力に対する期待を示したりもした。

アメリカとロシア、宇宙に向けた両国の熾烈な競争の歴史を少し言及しようと思う。1957年、旧ソ連は初の人工衛星スプートニクを打ち上げ、これに刺激された(?)アメリカは1958年に私たちがよく知る米航空宇宙局(NASA)を設立した。

ロシアには初の宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンがいたし、アメリカには人類で初めて月に行った宇宙飛行士ニール・アームストロングがいた。そうした両国の宇宙開発の歴史にはいつも最初、最高という修飾語が付いて回った。

大韓民国には宇宙飛行士がいなかったのだろうか? いた!

2006年の『韓国宇宙飛行士輩出事業』でコ・サン(高山)、イ・ソヨン(李素妍)を宇宙飛行士候補に選出した。覚えている人もいるだろうが、最終候補を選ぶために『SHOW ME THE MONEY』のようなサバイバル形式のテレビ番組も放映された。

そうして選抜された2人は15か月間、ロシアのユーリイ・ガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練を受け、コ・サンが最終搭乗宇宙飛行士、イ・ソヨンが候補宇宙飛行士に決定した

だが、コ・サンがエンジニア級以上の宇宙飛行士だけが見ることができる飛行教材を見たという理由で、最終搭乗宇宙飛行士はイ・ソヨンに交代させられた。以後、2008年4月19日、イ・ソヨンは11日間の宇宙飛行を終えて地球に帰還した

コ・サンとイ・ソヨン、彼らは今どのように過ごしているのだろうか?

まず、コ・サンは宇宙飛行士参加失敗後、韓国航空宇宙研究院を経てハーバードに留学、現在は3Dプリンタ事業家に変身したという

また、宇宙に直接行ってきたイ・ソヨンは、2014年に突然、韓国航空宇宙研究院を退社してMBA過程を経て、現在はアメリカ,シアトルに居住していると伝えられた。

韓国人“初”宇宙飛行士に対する国民的関心がとても大きかったためであろうか。その当時、2人の歩みに対して多くの話が行き来した。特に直接宇宙に行ってきたイ・ソヨンの場合、宇宙と関連のないMBA過程を踏んでいるというニュースが伝わると“食い逃げ”論議が起き、『韓国宇宙飛行士輩出事業』さえも“お金浪費”という非難を受けた。

個人的な選択で、その過程でいろんなことがあったが、幼かったときの夢を間接的ながら実現させてくれた彼らの近況が惜しいばかりである。

今後も韓国宇宙飛行士に会うことができるだろうか?

その期待は簡単には実現されないようだ。2014年の韓国航空宇宙研究院関係者のマスコミインタビューによれば「宇宙飛行士輩出事業を最初に始めた時から後続宇宙飛行士養成の計画はなかった」とし「当時はネパール、アフガニスタンも宇宙飛行士がいるので韓国もいなければならないという社会的雰囲気のために1号宇宙飛行士を量産したもの」と話した。

また、同年、未来創造科学部関係者はマスコミインタビューで「現在、政府次元で進行されている有人宇宙開発計画はない」と述べた。

残念なことだ。後続宇宙飛行士養成の部分を除いて見ても、莫大な予算が投入された事業の後続措置が全く行われていなかったという感じをぬぐえない。当時、社会的な雰囲気に振り回されずに長期的な目標と具体的な計画を持って事業を始めていたならば、『大韓民国宇宙飛行士輩出事業』の結末は少しは変わらなかっただろうか

去る2月、未来創造科学部は宇宙開発振興実務委員会を開催、『大韓民国200大重点宇宙技術開発ロードマップ』を確定したと伝えた。これと共に韓国型発射体開発など合計6,703億ウォン規模の『2017年度宇宙開発施行計画』を樹立したと発表した。

予算現況を見てみると、いくつか目につく点がある。第一は710億ウォンに至る『韓国型月探査事業』予算で、2016年に比べ510億ウォン増加したという点、二つ目は『近地球宇宙環境観測衛星搭載体開発』、『国際宇宙ステーション用太陽コロナグラフ開発』分野にそれぞれ87億・235億ウォンの予算が新規に編成されたという点だ。

もちろん、予算の変動だけで宇宙開発計画全体について肯定的な期待をかけることは難しい。約260億ウォンの予算が投入された『韓国宇宙飛行士輩出事業』の前例があるためだ。

何より“お金浪費”と評価された過去の事例に対する徹底した分析が必要だと思う。また、短期的な業務成果より、技術単位の開発やアメリカ・日本など海外協力に持続的に努めるならば、あの広い宇宙のどこかへ消えてしまった“大韓民国宇宙飛行士”にもいつかまた会うことができるのではないだろうか。(機械翻訳 若干修正)


交代させられたコ・サン氏の記事↓
2008年05月15日

帰還後客寄せパンダにさせられて将来を悲観して渡米したイ・ソヨン氏の記事↓
2014年06月26日