(朝日新聞 2017/04/23)

 存廃を巡って県と市民団体が訴訟で争っている県立公園「群馬の森」(高崎市)に建つ朝鮮人犠牲者追悼碑碑をモチーフとした造形作品が同じ公園内にある県立近代美術館で展示されるはずだったが、公開当日の22日朝、撤去された

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 展覧会は「群馬の美術2017」。「地域社会における現代美術の居場所」との副題で、地域に根差して活動する県内の現代美術家15人を特集し、6月25日まで開催する予定だ。

 撤去されたのは、前橋市在住の作家白川昌生さん(69)が2015年に制作した作品「群馬県朝鮮人強制連行追悼碑」(高さ4・3メートル、直径約5メートル)。県の指導に応じて開館前に白川さんが撤去した
※群馬県立女子大学、前橋工科大学講師(ウィキペディア)

 公園内に建つ碑を白や黄土色の布を使って模し、碑と同じ大きさで表現した作品。白川さんによると、この作品は、同年に東京で開かれた「消された記憶」展と、今年2~3月に鳥取県立博物館であった展覧会で公開された実績がある。

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 終戦まで日本人として戦争や軍需産業のため、動員・徴用された朝鮮半島出身者の犠牲を悼んで建立された碑が、各地で撤去問題にさらされている。白川さんは「モニュメント(の存在意義)が時代に左右されている。(碑を)なくしてしまおう、忘れてしまおうという動きがあることを提起したかった」と話す

 市民団体が04年に建立した追悼碑は、公園を管理する県が設置許可の更新を認めず、団体側に自主撤去を求めた。団体側が不許可処分の取り消しを求める行政訴訟を起こし、審理が続いている

 同館の稲葉友昭副館長は「展示作品に政治色があってはだめだとは言わない。今回は県が当事者であり、そして公立施設として、バランスある展示内容にする必要があった。もっと早くに幹部が情報をつかみ、作家と話し合うべきだったと反省している」とした。

■朝鮮人犠牲者の追悼集会に150人

 戦時中に労務動員されたり、徴用されたりして県内で働き、死亡した朝鮮人を追悼する14回目の集会が22日、高崎市労使会館(同市東町)であり、約150人が参加した。黙禱(もくとう)や追悼のことばに続き、台の上に置かれた朝鮮人犠牲者追悼碑が写った写真パネルに向かって参加者が献花した。

 追悼碑をめぐり、存廃が法廷で争われており、13年から追悼碑の前での集会を断念している。参加者からは「来年こそは追悼碑の前で献花できるようにして欲しい」という意見が出されていた。


(朝日新聞 2017/04/23)

 群馬県立近代美術館で22日から展示予定だった、県内の「朝鮮人犠牲者追悼碑」をモチーフにした造形作品が、同館の指導で解体撤去されたことがわかった。追悼碑をめぐっては、存廃が法廷で争われている。同館は「県は碑の存廃をめぐる裁判の当事者。存否の両論を展示内容で提示できない以上、適さないと判断した」としている。

 撤去されたのは、前橋市の作家白川昌生さんの作品「群馬県朝鮮人強制連行追悼碑」。布を使って追悼碑を表現した直径5メートル、高さ4メートルほどの作品で、同県在住の芸術家の作品を集めた展示の一つに予定されていた。同館と白川さんによると、同館幹部らが21日夕、展示前の最終点検で不適と判断。白川さんと修正を模索したが、最終的に同館側が撤去を求めたという。

 碑は、戦時中に動員・徴用され、建設現場などで働いて死亡した朝鮮人らを追悼する目的で、市民団体が2004年、県立公園内に建立。県は14年、碑の前で開かれた追悼集会の発言が「政治的」で設置許可条件に違反したとして許可更新を不許可とした。市民団体が処分取り消しを求める行政訴訟を起こしている。白川さんは「群馬の問題だから、群馬で展示できれば良いと思った。残念だが、仕方がない」と話している。


除幕式証拠動画の編集、正確性欠ける 追悼碑訴訟で群馬県指摘
(産経新聞 2017/03/02)

 「群馬の森」(高崎市)の朝鮮人追悼碑をめぐり、政治的発言を繰り返したとして県が設置更新を不許可としたことに対し、市民団体「追悼碑を守る会」が処分取り消しなどを求めた訴訟の第12回口頭弁論が1日、前橋地裁(塩田直也裁判長)で開かれた

 県は、政治的発言の一つとされた中山敏雄氏=当時同会運営委員=の「碑文に謝罪の言葉がない」などの発言が除幕式ではなかったとする証拠動画について、「途中で映像が切れ、編集されている箇所が4つあり、正確性に欠ける」と指摘した。

 一方、守る会は、茂原璋男前副知事ではなく中島聡県河川課長が尋問対象として適切とする県の主張に反論し、「双方に対する尋問が必要」とした。

 県は、守る会が追悼式で「政治的発言を繰り返し碑を政治的に利用した」としたが、守る会は「表現の自由」や「除幕式で争点となった発言はしていない」などと反論している。次回口頭弁論は5月17日


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