少女像見ましたか?⑩ 日本の主張に呼応する外交部「ウィーン条約」が何だ?
(KBSニュース 韓国語 2017/03/29)

外交部か倭交部かという論議が絶えないです

釜山日本総領事館の塀のそばに設置された日本軍慰安婦キリム碑、すなわち『少女像』撤去のためです

ユン・ビョンセ(尹炳世)外交部長官が去る1月、国会の懸案報告で「外交公館前に造形物の設置は国際礼譲次元で『望ましくない』と考えるのが国際社会の立場」と述べたのに続き、外交部は釜山市と釜山市東区庁、釜山市議会の3か所に公文書を発送して『少女像移転』を圧迫したという論議が浮上しました。

■少女像が日本領事館の安寧に脅威?

外交的に使われる言葉は本当に分かり難いです。そうだということなのか、そうではないということなのか。

これまで、韓日慰安婦合意文で明示された『ソウルの日本大使館前の少女像移転』問題と関連し、外交部は「その間、自治団体や市民が設置する造形物を指図する立場にない」と事実上、放任の立場を固守してきました。ところが、釜山日本総領事館の歩道に設置された少女像問題に対して突然立場を変えます領事館の安寧と尊厳を守らなければならない国際礼譲に反するので、他の場所に移さなければならないとの話です

その時は大丈夫で、今はだめとは、どういう理由でしょうか?

外交部が挙げる根拠は『ウィーン条約』です

■外交部、『ウィーン条約』論議知らなかった?

KBSデータジャーナリズムチームが、2015年12月28日の韓日慰安婦合意以降、少女像あるいは慰安婦問題と関連した韓国と日本両国の外交部(日本外務省)の公式文書と記者会見の全文を分析してみました。分析の結果、韓国外交部の立場が旋回したのは、2016年12月30日の釜山日本総領事館前の少女像設置と関連して日本が報道資料を発表した直後と現れました。

日本政府は、釜山少女像設置に対して強い遺憾を表明し、少女像を直ちに撤去することを要求しています。少女像撤去に対する論理として明確に提示したのがウィーン条約違反

現在、韓国外交部が少女像移転が必要であるとして挙げている理由と同じです

(外務省 2016/12/30)

1 本30日(現地時間同日),韓国の市民団体により,在釜山日本国総領事館に面した歩道に少女像が改めて設置されようとする事態となりました。

2 これを受け,同日,杉山晋輔外務事務次官から李俊揆(イ・ジュンギュ)駐日韓国大使に対し,また,長嶺安政駐韓国大使から林聖男(イム・ソンナム)韓国外交部第1次官に対し,(1)昨年末の日韓合意の精神に反するものであり,極めて遺憾である,(2)日韓関係に好ましくない影響を与えるとともに,領事関係に関するウィーン条約第31条3に規定する領事機関の安寧を妨害し,威厳を侵害するものと考えており,同条規定に照らして問題であると考えている旨述べ,設置されないよう強く求めました。さらに,同種の抗議・申し入れを在釜山日本国総領事館から釜山市や,総領事館が所在する同市東区に対しても行いました。

3 このような累次の抗議・申し入れにもかかわらず,また,28日に一旦は地方自治体(釜山市東区庁)により撤去された少女像が本日になり同自治体も黙認する中で設置されたことは極めて遺憾です。政府としては,少女像を早急に撤去するよう,引き続き韓国政府や関係自治体に強く申し入れていきます。

【参考】領事関係に関するウィーン条約第31条3
 接受国は,2の規定に従うことを条件として,領事機関の公館を侵入又は損壊から保護するため及び領事機関の安寧の妨害又は領事機関の威厳の侵害を防止するためすべての適当な措置をとる特別の責務を有する。


それなら、外交部はこれまでウィーン条約について知らなかったのでしょうか?

すでに知っていました。

2016年1月26日、外交部定例記者会見で、ある日本記者が外交部報道官に尋ねます

「釜山の日本総領事館前に少女像を設置しようとする動きがあるが、ウィーン条約違反ではないですか?」

外交部報道官はすぐ返します

「民間で推進していることなので政府がああしろこうしろとする事項ではありません。」

釜山少女像が論議の中で撤去されて再び設置される過程を見守りながら、再設置のわずか3日前である2016年12月27日の定例記者会見でも「関連法令に基づいて該当地方自治体で判断することだ」と外交部は明らかにしました。

ところが、30日の日本側の報道資料以後に外交部が突然立場を変えたという指摘に対し、外交部報道官は「政府の立場は一貫している」と主張します

■本当に一貫している? 韓-日外交メッセージタイムライン

2015年12月28日の韓日慰安婦合意以後、日本外務省の岸田外相が記者会見や定例記者会見で慰安婦合意と関連して少女像問題を取り上げたのは全27回でした。このうち24回は岸田日本外相の定例記者会見、臨時記者会見1回、残りは釜山日本総領事館前の少女像設置を糾弾する報道資料で言及されました。

韓国は外交部の定例記者会見で37回にわたり少女像問題が議論されました。

タイムラインで韓国外交部と日本外務省のメッセージを目を通しましょう。変化が見えます
※↓は2016年12月30日以降、韓国政府の発言が日本寄りになったことを示す図のようです。
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2015年12月28日、日本外相は『少女像移転』が慰安婦財団への出資金拠出の先決条件かという記者の質問に、「『韓日合意文』に出ている」とし「韓国政府に誠実な履行を促している」と婉曲に少女像移転を促します。

一方、韓国外交部報道官は「少女像移転は慰安婦財団への出捐の必要条件でない」と強く否定してきました。

日本側のメッセージは一貫している一方、韓国外交部のメッセージはある瞬間に変わります。日本の論理について行くようにです

日本極右団体がカリフォルニア州グレンデールの慰安婦少女像を撤去して欲しいとして出した訴訟に対し、アメリカ連邦最高裁が去る28日、「できない」と最終決定した判決に対しても、外交部は「韓国政府で意見を出すのは適切でない」とノーコメントで口を硬く閉じました。

■法的に『ウィーン条約』違反にあたるのか?

少女像問題は日本が提起するウィーン条約違反に国際法上、本当にあたるのかについて、大多数の専門家たちはそうではないという立場です

一般的にウィーン条約は、外交関係に関するウィーン条約(1961年採択、1971年韓国加入)と領事関係に関するウィーン条約(1963年採択、1977年韓国加入)に分かれます。2つの条約は英文では全く同じだが、韓国外交部や国際法の教科書に見ると翻訳文に若干の違いがあるだけです。

高麗大学校グローバル日本研究院チョ・ジング教授は、少女像がこれに該当することなのかはちょっと綿密に検討して見る必要があると話します

1996年7月、東京にある韓国大使館に日本右翼が車で突進した事件や、2012年7月、ソウルの韓国大使館に韓国人が車で突進した事件は明白に重大なウィーン条約違反だが、事実上、少女像が公館の安寧や領事館の平穏について撹乱するのか疑問が提起されるというものです。チョ教授は、むしろ日本がウィーン条約問題を提起すること自体が慰安婦問題を覆うための試みではないのか、意図を綿密に調べなければならないと話しました

慶北大学校法学専門大学院キム・チャンロク教授も、外交部が少女像について「少女像は民間次元で設置したものなので、政府がああしろこうしろとすることができる事案でない」と数十回、数百回繰り返し話しておいて、今になって国際礼譲および慣行を考慮する方向で努力すると事実上、言葉を変えたものと批判しました。キム教授は、外交部の立場から見たとき2015年の韓日慰安婦合意以後は守ることができない、ということを外交部が告白したものだ指摘しました。

■国際的に韓国非難する日本 vs. “屈従外交”の韓国

釜山総領事館前の少女像設置以後、日本の対応速度と態勢は一層攻撃的に変わります。駐韓日本大使と総領事を召還し、連日、強硬な発言をしています。何よりも注視すべきことは、国際社会に投げているメッセージです

小田原潔(衆議員)日本外務省政務官(私たちの外交次官級)は1月28日、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルに『アジアの安保の新たな障害物』という題名の公式寄稿文を載せ、「韓国が日本と結んだ歴史的な慰安婦合意を危うくしている」と非難します。小田原政務官は「最終的かつ不可逆的な合意を結んだにもかかわらず、韓国は釜山の日本総領事館前に新たな少女像を設置し、韓日慰安婦合意において非常に残念で、これはウィーン条約でも問題になる」とし「日本は大使召還という措置を取らざるを得ない状況に追い込まれた」と、むしろ被害者になったような立場を表明しています。さらに「アメリカまで届く北朝鮮の核の脅威に対抗してアジア地域の平和を守るためには韓国‐日本‐アメリカの協力が切実だ」とし「日本は韓国と協力しながら国際社会の安定と平和を持続的に維持するつもり」と圧迫しました。

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※韓国人フィルターを通した上、機械翻訳なので言い回しやニュアンスが結構、違います。
 WSJ寄稿文の英文:
A New Obstacle to Asian Security

これに対し、韓国外交部の対外メッセージは見当たらないです。ユン・ビョンセ長官と次官、国立外交院長の対外演説、インタビュー、寄稿文の中で日本の慰安婦関連の妄言とウィーン条約の問題点などについて批判した内容はたった1件も見つけることができませんでした。

むしろイ・ジュンギュ(李俊揆)駐日韓国大使の“妄言”が俎上に載っています

イ・ジュンギュ大使は、日本有力紙とのインタビューで数回にわたり「釜山の日本総領事館前の少女像の設置は残念だ」と謝罪の意向を明らかにし、「ウィーン条約により適切な場所に移されることが好ましい」と日本の論理をそのまま引き移しています。「韓国側の誤りで国際平和が脅威を受けている」という日本の立場と違うところがありません。

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▲朝日新聞 2017.3


アメリカと国際社会を揺さぶりながら韓国の約束破棄を攻撃する日本と、数年間固守した立場を覆して『少女像』を移転しなければならないという韓国外交部

アメリカ連邦裁判所がグレンデールの少女像撤去は「できない」と最終判決を下したことに「ノーコメント」で一貫する大韓民国外交部。

「2015年の韓日慰安婦合意で、日本側の財団設立費用拠出と少女像移転は完全に別の懸案であり、何度も申し上げたように、民間団体で自発的に推進することを政府がああしろこうしろとは言えない」と言ったのに。「その時は正当、今は不適当」外交部のアイデンティティとは何でしょうか。(機械翻訳 若干修正)


慰安婦問題合意の日韓記者発表にウィーン条約の文言を引用した項目があるくらいですから、当時から知らなかったわけはなく、大使館前の慰安婦像については「とりあえず『努力する』と言っておけば、その後はほっといても日本は何もしない」と合意し、総領事館前については「設置しても日本は何もしない」と思って黙認したんでしょうね。


(外務省 2015/12/28)

2 尹(ユン)外交部長官

 韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については,これまで,両国局長協議等において,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,韓国政府として,以下を申し述べる
(略)
(2)韓国政府は,日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し,公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し,韓国政府としても,可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて,適切に解決されるよう努力する
(略)
外交関係に関するウィーン条約 第22条

2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。


領事関係に関するウィーン条約 第31条

3 接受国は、2の規定に従うことを条件として、領事機関の公館を侵入又は損壊から保護するため及び領事機関の安寧の妨害又は領事機関の威厳の侵害を防止するためすべての適当な措置をとる特別の責務を有する