日教組「教研集会」に並んだ「洗脳授業」一覧
(週刊新潮2017年2月16日 2017/02/08)

 人妻との大胆なダブル不倫がバレて、委員長が辞任した日教組。後継が決まらないまま最大のイベント「教研集会」を迎えたが、これを機に体質が変わるか、なんて期待を抱くのが野暮というもの。追いつめられて、ますます反社会性を強めている感すらあるのだ。

(略)2月3日から5日まで新潟市で開催された日教組最大のイベントである第66回教育研究全国集会(教研集会)も、委員長不在のまま、もやもやした空気の下で開催せざるをえなくなった。

 教研集会は、全国から集まった約1万人もの教員が日ごろの教育実践を発表し、議論する晴れ舞台。(略)

だからこそ、1月30日、教研集会への取材申請をした本誌編集部を丹野久広報部長がわざわざ訪ねてきたのだろう。

「今年度、新潮さんに関しては、取材をご遠慮願えないか、というお願いであります。全国教研は組合員にとって晴れの舞台で、そこに御社の取材が来ると動揺すると言いますか……。われわれは組織の立て直しの最中で、今回の教研をうまく乗り切りたいんです」

 都合が悪いことにはフタをして組織を守る、というのは、よく聞く「いじめはなかった」という返答と同様に、教育関係者のDNAがなせるわざなのか。日本の将来は暗い。

 だが 教研集会で岡島委員長代理に、本誌への取材拒否はおかしいと糺すと、「御社だけに取材の歯止めをかけるのは、おかしいとしか言いようがない。私の指示ではありません」(略)

「国際連帯・多文化共生の教育」分科会での発表である。

 千葉県の小学校の女性教諭は、日韓のコメ料理の違いを知ることで交流が深まった、と発表したところまではよかったが、

「ほかの人の発表で、在日朝鮮人の子供の、カミングアウトや本名を隠すというエピソードが出てきて、自分の周りにはないので衝撃的だった」

 と語ると、会場の空気が一変。「千葉では隠していないのか。ある意味、衝撃的だな」という野次を皮切りに、「差別の実態が描かれていない」など、「差別」や「日本の責任」というキーワードが出てこないことへのいち立ちが、露骨にぶつけられたのである。

 JICAで働いた経験がある大分県の中学の男性教諭の発表でも、「援助しているようで実際は途上国から収奪している実態を授業にどう生かしているのか」などと、レポートと関係ない質問が飛んだが、なかでも災難だったのは、フィリピンと日本のよい関係について報告した富山県の小学校の男性教論だった。

 親日的なフィリピン人との交流を紹介した発表が不評だった教諭が、「北朝鮮の核ミサイルの問題、韓国の従軍慰安婦問題は、なぜこの分科会で取り上げられないのか」と切り返した途端、反論が矢のように浴びせられたのだ。いわく「ミサイルや核を開発する悪い北朝鮮がルーツの子供は差別されても仕方ない、という意味か」。いわく「多文化共生とは在日朝鮮人の子供を救済し、日本の戦争責任や戦後賠償を追及する場。あなたの発表はそういう歴史的経緯を踏まえているとは到底思えない」

 ことさらに差別からの救済を唱える輩にこそ、差別意識があるのは明らかだが、ともかく、会場は富山県の教諭への非難一色に染まり、糾弾は手をかえ品をかえ約4時間も続いた。在日朝鮮人「差別」に触れないだけで徹底的に「差別」し、集団で攻撃する。これはもはや「いじめ」、あるいは「集団リンチ」と言っていい。「共生」を謳いながら、自分たちのイデオロギーから一歩でも外れた主張には猛攻撃を加える――という連中が教育現場を仕切っている以上、学校からいじめがなくなるわけがない。(略)

◇教師の立場に中立はない

 社会科教育分科会で発表した沖縄県の中学校の男性教諭は、授業のテーマを「沖縄に米車は必要か」とし、模擬知事選を行なったという。2014年の知事選そのままに仲井真弘多前知事、翁長雄志現知事、喜納昌吉氏、下地幹郎氏を候補者に立て、最初は生徒個人の考えで投票し、グループ討議をしたのちにもう一度投票するというものだ。

 大人の政治的対立を教室に持ち込み、子供を党派で色分けするとは、政治集団たる日教組の面目躍如だが、同じ分科会で発表した兵庫県の中学校の男性教諭にくらへれば、まだ甘い。

「公民などの授業で時事的、政治的問題を取り上げるとき、教師の立場に中立性はありません」

 と断言するこちらのセンセイ、憲法の授業について発表したが、こんな内容だ。

――憲法9条を暗唱できた生徒には特製のワッペンを贈る。多くの生徒がこの課題をクリアすると、今度は憲法前文の暗唱を課し、クリアするとさらに大きなワッペンを与える

 ご本人が「中立性はありません」と言う以上、憲法を守るために覚えさせられているのは明らかだが、ただ、憲法の条文を暗記して損はない。一方、この先生は南京大虐殺は「あった」という前提で授業し、原発を取り上げるときは、

「3.11以降は推進派の意見は提示せず、反対派の意見を中心に進める」

 とのこと。その洗脳教育ぶりには、あっぱれというほかない。

「子ども・教職員の安全 健康と環境・食教育」という分科会でも、原発についてどう教えるか、議論が交わされた。愛知県の中学校の男性教諭が、エネルギー政策を多面的な観点から学ばせる授業を報告すると、まず大阪府の高校の男性教諭が注文をつけた

「われわれはチェルノブイリについて、広島の800発分の放射能を降らせたという評価をし、それが美浜で起きて放射能が関西を襲うというシナリオを作って、10年住みつづけたら40万人ががん死するという結果を出し、それを全部授業で言った。そうやって具体的な数字を挙げないと子供にはわかりません」

 また東京の男性組合員も、「子供たちに調べ学習をさせるのはいいが、ネット検索なんかさせれば、原子力推進の意見が圧倒的に多い。子供たちの考え方はそういうものに流されていくから、指導者がどれだけ見識を持つかが重要。政府や電力会社にからめ捕られないために、指導者がもっと放射能の危険性を学ばないと」

 子供たちが自由に考える前に洗脳しなければ、と強く意見するのである。(略)

◇憲法改悪と健康診断

 平和教育の分科会で発表した鹿児島県の高校の女性教諭によれば、「今はもう戦前の空気」なのだそうだ。この教諭のテーマは「『人を撃てるか』~教え子を再び戦場に送るな!~」。自衛隊に就職する生徒が多く、昨年11月、南スーダンPKO派遣部隊へ駆けつけ警護が新任務として付与される際、「いてもたってもいられない」気持ちになったという。なにしろ、

「自分たちの教え子が戦場に送られていく、もう送られてしまっていると考えていいと思うんですけど」

 と認識するこの教諭、日教組に非加入の先生方を飲み会に誘い、「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンのこと、日教組への政府の圧力が強まって〝共謀罪〟も作られようとしているので、仲間を増やしたいこと、今の情勢をとらえた平和教育が必要なことなどを伝えているという

 日教組が〝共謀罪〟の対象になるという過剰な自意識はともかく、教育を政治運動のなかに位置づけ、周囲をオルグするのを当然のように語る姿勢には、違和感を覚える方が多いだろう。(略)

 ちなみに、開会式後の特別講演に登場した法政大学の山口二郎教授は

「教室で政治教育をしたいだろうけど、そこは無理をしないほうがいい。高校の後輩相手に教室の外でオルグすればいい」

 などと話していた。そこからあらためて確認できるのは、堂々と政治教育をしたいのは山々だが、バレると面倒なので教室外で〝運動〟する、という日教組のセンセイ方の生態である。

 そういえば先の鹿児島県の高校の女性教諭は、健康診断についても、

「今年度から手足が動くかどうかの検査や、色覚検査が復活し、これは徴兵制につながるのではないか」

 と豊かな想像力を披露したが、保健・体育分科会でも広島県の小学校の女性教諭が、こう報告していた。

「憲法改悪に向け、為政者があれこれと画策し、戦争ができる国へと変わりつつある危機に直面している今、子供の身体を評価しようとする健康診断の意味をあらためて考える必要がある」

 憲法改悪と健康診断を結びつけるには、さらに高度な発想力が求められそうだが、なんでも先輩から、

「戦時中、身体検査で子供たちの身体を甲、乙、丙と評価し、戦場に送り、戦場に行けない子に非国民の烙印を押した歴史がある」

 と教わったそうだ。ちなみにこのセンセイ、

「子供たち一人一人の体は違っていて、健康状態も違う。(子供を身体的能力で評価する運動器検診で)健康状態を評価し、その結果をお知らせすることで、子供や保護者を不安にさせたことを忘れてはいけない」

 とまで説くが、健康診断を徴兵制と結びつける発想こそ、子供や保護者を不安にさせるということを、忘れてはいけない。

【追記】↓は全国平均です。
教職員団体への加入状況に関する調査結果 平成27年10月1日現在(文部科学省)

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↓はクリックで大きく(別ウィンドウ)
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ちょっと前のデータですが、各都道県別の日教組加入率↓。クリックで大きく(別ウィンドウ)
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