(日本経済新聞 2017/1/31)

 日本政府が早期の開催を目指している日中韓首脳会談が当面見送られる方向となった。昨年末に韓国の民間団体が釜山の日本総領事館前に従軍慰安婦を象徴する少女像を設置してから30日で1カ月。日韓の間で対話の機運が乏しいためだ。中国も日韓の対立に様子見を続けており、開催のきっかけがつかめずにいる。

 「日本側の義務はすべて果たしており、韓国にも合意を誠実に履行するよう粘り強く求めていく」。30日の参院予算委員会。安倍晋三首相は、2015年12月の従軍慰安婦を巡る韓国との合意について強調した。

 「最終的かつ不可逆的解決」を確認した合意を受け、日本は元慰安婦支援で10億円を拠出した。だが韓国側は「解決への努力」を約束したソウルの日本大使館前の少女像の移転をせず、昨年12月には民間団体が釜山に新たな少女像を設置した。

 そこから1カ月。日本政府は1月6日、駐韓大使らを一時帰国させ、韓国では地方議員が島根県の竹島に少女像を置こうとする動きもでている。日韓関係はさらに悪化し、駐韓大使帰任の見通しがたたない状況だ。先週の自民党の部会では「韓国側が解決へ明確な態度をとらない限り大使は返すべきではない」と強硬論も出た。

 影響が出ているのが、当初は昨年開催予定だった日中韓首脳会談だ。

 日中韓首脳会談は原則年1回、3カ国が持ち回りで開く。昨年は日本が議長国として東京で開催する予定だった。ところが昨年12月に韓国国会が朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追案を可決して大統領の職務が停止され、開催を見送った

 日本政府はこれまで、釜山の少女像設置と日中韓首脳会談の開催を切り分け、今年2~3月の開催を目指して再調整してきた。首相も25日の国会答弁で「本年のできるだけ早い時期に日本で開催できるよう努力する」と語ったが、外務省関係者は「日韓がここまでぎくしゃくすると調整は進まない」と本音を漏らす。

 中国が様子見を続けていることも、調整が進まない背景にある。外務省関係者によると、朴大統領の職務停止後、日本は中国に「大統領代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相が代わりに出席する」との案を打診した。しかし中国は「会議のための会議はしない」と回答したという。

 開催はいつまでずれこむのか。韓国は3月上旬にも憲法裁判所が朴大統領の弾劾訴追を巡り結論を出すとの見方がある。朴氏の罷免が妥当と判断されれば、60日以内に大統領選が行われる。日中韓首脳会談は新大統領誕生後になる可能性がある。日本政府関係者は「中国は朴政権自体が形骸化し、大統領代行と交渉しても意味がないと判断している」と語る

 中国にとって日韓関係が冷え込むのはマイナスではない。日韓の間を取り持って、首脳会談の開催を働き掛けるメリットは乏しいとの見方もある。習近平指導部は秋に共産党大会を控えている。党内の権力闘争が激化しやすい時期に、国内世論を刺激しかねない日本との会談には慎重になりがちだ。そうすると今秋以降にずれこむシナリオもでてくる。

12017PP8001-PB1-5

 東アジアでは核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応が喫緊の課題だ。2月16~17日にドイツのボンで開く20カ国・地域(G20)外相会合には、日韓の外相が出席する見通し。G20外相会合の際に外相同士で日中韓首脳会談の日程を調整する案も浮上している。


韓国に属中・従北政権ができて、日vs中韓の会談になるんでしょうね。