(朝鮮日報 2016/09/1)

 ユ・マディ記者は今年7月、韓日両国を訪れる中国人観光客を対象とした旅行商品を比較した。1日の旅行費用の差は約2万ウォン(約1800円)だったが、内容は雲泥の差だった。韓国の旅行商品はスケジュールのほとんどがショッピングに当てられていた一方で、日本の旅行商品は観光名所の見学を中心に構成されていた。

 「この先は写真撮影が禁止です」

 今年7月4日、済州市連洞にある高麗ニンジン販売店を訪れた。入り口を入ると、待機していた従業員たちが、中国人観光客たちがカメラや携帯電話を持っていないか、しきりに確認した。従業員たちは、観光客たちを前後から挟み込み、まるで監視するかのように一緒に行動した。ある中国人観光客が製品の写真を撮ろうとしたところ、従業員が観光客を体で押し「ブシン(不行:駄目です)!」と叫んだ。同店鋪は、外国人の団体観光客だけが入ってこられるようになっており、韓国人の立ち入りは厳重に禁止されていた。売り場の写真や値段が外部に知られるのを阻むためだと思われる。中国で長期滞在していたため中国語が話せる記者は、中国人観光客を装って売り場に入ることができた。

 売り場の一方には英国のエリザベス2世女王、中国の江沢民・元国家主席、米国のビル・クリントン元大統領などの写真が飾られてあった。疑いの目で写真を見つめる観光客たちに従業員が聞いた。「この方々の共通点が何なのかお分かりですか。皆高麗ニンジンの愛好家だということです」。この説明を聞いた多くの観光客たちがようやく「ジウス(就是:なるほど)」とうなずき、製品を注意深く見始めた。

 ここでは、5、6個単位で包装された高麗ニンジンが、値段の表記もなしに60万-120万ウォン(約5万6000-11万2000円)で売られていた。記者が値段の違いは何かと聞くと、従業員は「高い方が熟成期間が長い」と答えた。商品の包装紙にはサムスンのロゴが貼ってあった。サムスン火災保険に加入しているという意味だったが、中国人たちは「サムスンが作ったものであれば信じられる」と言ってショッピングバッグに商品をたくさん詰め込んでレジに向かった。

2016091201755_0

■どこに行っても安物ショッピング…「韓国にはもう二度と来ない」

 7月初めに3泊4日の日程で中国人の団体観光客と共に済州島を観光した。宿泊と観光で43万ウォン(約4万円)を支払った。旅行会社から送られてきたスケジュール表には、馬、チョコレート、人形などをテーマにした「テーマパーク」の訪問が10カ所、タックスリファンド(付加価値税の払い戻し)免税店と小さなお土産店が4カ所それぞれ含まれていた

 午前9時から始まった初日のスケジュールは、「博物館は生きている」、パシフィックランド、観光農園、松岳山オルレギル(ハイキングコース)、ガラスの城、ザ・馬パークの順だった。電車や路線バスでのアクセスが容易でない観光地ばかりだ。約30分でテーマパークを見学すると、ここぞとばかりにキャラクター人形、馬油クリーム、ガラス工芸品などを売る記念品ショップが登場した。中国人たちは売り場ごとに「70%割引」「今日一日だけ半額」と叫ぶ売り子たちの呼び込み行為に魅せられたかのように次々と商品を手に取ってはレジへと向かった。約30分にわたる「嵐のようなショッピング」を終え、化粧品や生活用品などをたくさん詰め込んだ3-4個のショッピングバッグを両手に出てきた観光客たちの表情は、なんだか曇っていた。「従業員たちの販売態度があんまりにも強引で、いくらで買ったのか覚えていない」と言った。

 同日のスケジュールのうち記念品店が含まれていたテーマパークの観覧時間は約40分と長く設定されていた方だったが、絶景といわれる松岳山のオルレギルでは海を背景に2枚の写真を撮る余裕さえもなかった。ホテルに戻ると、何を見たのか何が楽しかったのかよく覚えていないまま足の力だけが抜けていった。これと言って何かをしたわけでもなく一日が過ぎ去ってしまったかのような気分だった。

2日目からは工芸品の展示場、民俗村、海女の村、農水産物直売場など、行く先々でごった返す中国人の団体観光客たちを対象に販売行為が繰り返された。同日、記者と共にツアーに参加した中国人のシャナンさんは「民俗村と聞いて期待してきたが、肝心の村の見学には10分ほどしか時間がなく、30万-40万ウォン(約2万8000-3万7000円)もする馬の骨の粉を『膝などの関節の特効薬』と言って買うよう勧めてくるのはまるで話にならない。こんな旅行は中国では『ママタン(ママ旅行団)』たちがすること」と首をうなだれた。ママタンとは、旅行先でひどくぼられる40代以上の女性たちを指す言葉だ。韓国語で言えば「ホゲン」(扱いやすくおめでたい客の意)に似ている。

■宿泊施設も飲食店もいまひとつ

 夕方6時ごろに宿泊先に到着したが、客室のカーペットには真っ黒のたばこの焼け跡が数多く見受けられ、床にはもつれた髪の毛がたくさん落ちていた。遊興施設が密集している場所にあるホテルには、夜になると歌声や酒酔い客たちのけんか声が部屋の中まで聞こえてきた。ホテルの入り口で出会った中国人の一行は「ホテルとは名ばかりで、これでは中国の『招待所(旅館)』も同然だ」と言い捨てた

 匿名希望のソウルのある旅行会社の代表は「こうした商品はほとんどの旅行会社が航空券程度のお金だけを受け取る『残り物商品』で、観光客をそそのかしてはさまざまな方法で収益を補う」と説明した。

 専門家たちは、観光客たちがまた訪れたい韓国をつくり上げるためには宿泊、飲食店などの観光基盤施設を育成していく必要がある、と指摘する。漢陽大学観光学部のイ・ヨンテク教授は「政府は観光業界がお土産店から受け取る謝礼金の額を明記するよう指導すべきで、これを通じて得た収入を税金として取り立てることができるよう制度を改善する必要性がある」と指摘した。 済州=ユ・マディ記者


ウリがぼったくりをやめても、
他のヤツがぼったくって来なくなるんだから、
今のうち稼ぐニダ♪
71564365

2016年01月27日
2016年01月23日

関西ファミリーウォーカー 2016年秋号  [雑誌]
B01LX6EKSI