(朝鮮日報 韓国語 2016/08/10)

キム・ドクハン(Deok Han Kim)ニューヨーク特派員

昨年7月、聞くだけですかっとする訴訟がアメリカの裁判所に提起された。第2次大戦当時の従軍慰安婦に関連する加害者に被害補償を要求した集団訴訟であった。被告リストには明仁日王と安倍晋三総理をはじめ、日本最高位の人士、慰安所設置に協力したトヨタ・三菱など20社余りの日本大企業が網羅された。リストに載せられた日本政界最高責任者と戦犯企業を見て、多くの韓国国民が慰安婦問題が一挙に解決されるという期待に胸を膨らませカタルシスまで感じた

慰安婦被害者であるユ・ヒナム(柳喜男 Hee Nam You)、キム・ギョンスン(金卿順 Kyng Soon Kim)おばあさんを原告に立てて訴訟を代理したアメリカ弁護士キム某氏(キム・ヒョンジュン Hyungjin Kim)は一日でスターになった。マスコミのインタビュー要請が列をなした。彼は「第3国であるアメリカで世界の人々の良心と国際法に基づいて正確な判決を受ける」として勝利を誓ったし、「今は2人の原告から始めるが、この訴訟を契機に全世界1万人の慰安婦被害者を訴訟に参加させる」と気炎を吐いた。しかし、ぱったりそれで終わりだった。この訴訟がどのように進行したのか、結果はどうなったのか忘れられた

キム弁護士が驚異的な“興行”をする時、アメリカ現地の慰安婦関連活動家の胸には心配が山のように積もった。1990年代に同様の訴訟がアメリカ最高裁で敗訴した判例があり、アメリカの有力人権弁護士も他の方法を探すべきとして引き止める状況であったためである。韓日間の政治的に敏感な事案をアメリカ裁判所はできるなら『管轄権』を問題にして避けようとする。アメリカ裁判所が「アメリカで裁判をすることが適当ではない」という理由で棄却すれば、結局、被害者おばあさんが敗訴することになる

LAのある海外同胞団体幹部は「真実だけで勝つことができると信じるのはとても純真で危険な発想で、敗訴した時の打撃が大きすぎるとキム弁護士を引き止めたが頑なであった」と話した。

米サンフランシスコ連邦裁判所ウィリアム・アルサップ(William Alsup)判事は訴訟が始まってから1年もならない去る6月21日、この訴訟をすべて棄却、慰安婦おばあさんは完敗した

敗訴したのも胸が痛いが判決文を読んでみると怒りまで込み上げた

「原告が悲惨な苦痛を経験したという点は認められるが、裁判所は忍耐心を持って原告の主張を裏付ける資料を提出するように何回も機会を与えたのにもかかわらず、資料を提出しなかった。裁判所はもはや原告の主張を議論できない状況になった。」

原告側弁護士に向けた叱責が感じられる判決文である。アルソップ判事は昨年末、三菱とトヨタ、日産など7社の日本企業について控訴時効が過ぎたとして、原告側弁護士に12月までに訴状を修正して提出するように言ったが、やはり修正訴状は提出されなかった

キム弁護士は昨年7月に訴訟を起こした以降には、訴訟よりも没頭したことがあったようだ。キム弁護士は去る第20代総選挙(2016年4月13日投開票)出馬のために走ったが、地方区選挙戦で脱落して本戦に出ることはできなかった

その間、原告のキム・ギョンスンおばあさんは去る2月、ユ・ヒナムおばあさんは訴訟が棄却された直後である去る7月末に亡くなった。2人のおばあさんはこの訴訟にどのような期待をかけたのだろうか。責任を負わない功名心は時に罪となる。その拍子に何の考えなしに踊った国民世論も被害者おばあさん前に罪人なのは同じである。(機械翻訳 若干修正)

2015年07月17日
2016年06月23日
VOICE(ヴォイス) 2016年 09 月号 [雑誌]
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