(朝鮮日報 韓国語 2016/07/29)

ソウル市九老区のA小学校3年生の生徒たちは先月、12時間の水泳の授業を履修した。校内にプールがないA小学校は車で15分の距離にある公共プールを借りた。近くに私設プールが2か所あるが「お金にならない小学生の団体授業はしない」と断られたためである

この学校の教頭は「それでも今年は2月からプールの予約を急いだおかげで運が良かった」としながら「昨年は他の学校に押さえられて11月末にプールを利用することになった」と話した。

しかも、この公共プールは暖房のない古いプールであったため、満9歳の子供たちの唇は青く血の気が引き、水に入らずにプールの周りで準備運動だけして帰ってきた。A小学校教頭は「周辺20か所以上の小学校が公共プール2か所を順に使っている実情」と話した。

教育部(省に相当)が昨年、小学生対象の生存水泳教育を義務化すると発表したが、学校の現場では「プールを求めることは空の星を取ること」(とても不可能なことのたとえ)という不満が出ている校内にプールを備えた学校は100校のうち1校に過ぎないのが実情である。近くの公設・私設プールを借りて使わなければならないが、これさえも容易ではない。効果的な水泳教育を行うには、まず十分な水泳施設の確保が急がれるという指摘が出ている。

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▲去る25日、大邱体育高校のプールで大邱市内の小学校3年生の生徒たちが、水に落ちた時に菓子袋を抱えて水に浮く方法を習っている。


◇対象生徒10人のうち6人、水泳を習えない

教育部は昨年11月、「小学生の水泳実技教育を段階的に拡大し、2018学年度には全小学校の3~6年生(約178万人)が生存水泳を習うようにする」と明らかにした。今年は全国の小学生3~4年生で教育を受けるようにする計画だったが、実際には対象生徒85万8000人のうち40%である35万人だけが水泳を習っている。教育現場では「農・山・漁村はもちろん、都市にもプールが不足しており、10人中6人は水泳教育を受けることができない状況」という話が出てくる。

実際、水泳施設は生徒数に比べてあまりにも少ない。校内にプールを備えている小学校は全国で76校(2015年)だけである。全5913校の小学校の1.3%水準である。そのうえプールがある76校のうち39校がソウルにあり、地方の学校には水泳施設がさらに不足しているのが実情である。教育部によれば、慶尚北道にはプールを備えた学校が1校もない。

プールがない学校は地方自治体が運営する公共プールやデパート・スポーツセンターなどが運営する私設プールを借りて使用するようにというのが教育当局の方針である

ソウル市冠岳区のある小学校教頭は「バスを借りて生徒を乗せてプールに行ってくるには、1時間の授業をするのに2~3時間ずつかかる」とし「水泳は集中的に教えてこそ効果があるが、プールを求められなくて月に1回の割合で水泳をする場合もある」と話した。ソウル市松坡区のある小学校体育教師は「毎年2月、8月になれば町内のプールに『空いているか』と電話をするのに翻弄されている」とし「希望する時期に授業することはほとんど不可能だ」と話した。この学校は今年のプールの予約ができず、4年生は水泳の授業を実施しないことにした

◇民間でプールを作るように誘導しなければ

ヨーロッパ・日本など先進国ではかなり以前から子供の水泳の授業を義務化している。水に落ちても救助隊が来るまで待つことができる『自己救助法』や危険に陥った友達を救う『基本救助法』などを必ず習うようにしている。日本は1955年に紫雲丸号の事故で修学旅行に行った生徒168人が亡くなった後、すべての小学校で水泳の授業を実施し始め、現在、小学校の90%が室内・外プール施設を備えている。

我が国もセウォル号惨事などを経験して必要性を悟り、生存水泳教育を強化することにした。だが、すべての学校がプールを備えるのは現実的に不可能であるというのが政府の立場である。プール一つを作るのに少なくとも30億ウォンが必要とされるためである。教育部は2018学年度までにプールがない地域18か所に優先的にプール兼体育館を建設する計画である

教育部関係者は「プール18か所を作っても“焼け石に水”に過ぎない」とし「夏に学校の運動場に簡易プールを設置する案などを考慮している」と話した。専門家たちは「既存の公共・民間水泳施設を積極的に活用し、民間でプールをさらにたくさん作るように誘導しなければならない」と指摘した。

ユク・ヒョンチョル韓国体育大教授は「大学、ホテル、デパートなどが運営するプールを小学生の教育目的に大幅に開放させるようにし、大企業や地域企業が社会貢献目的でプールを作れば税金を減免するなど誘導政策を打ち出さなければならない」と話した。(機械翻訳 若干修正)


セウォル号事故から1年半の間、何ら準備や対策も施さないで、政権の思いつきで義務化したんですからこんな状態なのも仕方ないですね。

2015年11月18日
浮いて待て!命を守る着衣泳
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