(統一日報 2016/04/06)

 東京都が、新宿区内にある元都立高校の敷地を韓国政府に有償貸与する方針を発表した。韓国側が求めていた都内での「第2韓国学校」設立に向けた大きな一歩だ。都が貸与の方針を決めたことで、東京韓国学校側との交渉は本格化しそうだ。一方で、都有地の貸与には反対の声もある。反対派の主張は、「韓国人学校を作るなら保育所を作ってほしい」というものだ。舛添要一知事は、一部の反対の声に対して譲歩しない姿勢を堅持している。都立校跡地周辺の住民らの話を聞いた。(溝口恭平)

一部で反対運動も

 東京都は3月16日、都立市ケ谷商業高校の跡地を韓国政府に有償貸与する方針を明らかにした。2014年7月に舛添知事が訪韓した際、朴槿惠大統領から協力を頼まれ、昨年11月に駐日韓国大使から都に具体的な要請があったという。

 都が計画を発表した翌日、抗議の電話やメールが300件ほど寄せられた。25日には都庁前で反対デモが行われた。跡地を韓国人学校ではなく、保育所にすべきとの主張だった。

 舛添知事は同日、計画を予定どおりに推進していく方針を強調した。反対の声に対しても、一定の反対があるのは仕方がないという姿勢だ。

 東京韓国学校は、周辺の韓国人人口の増加などにともない、長年定員いっぱいの状態が続いている。初等部から高等部まで、各学年120人が学ぶが、入学を希望しても入れない児童・生徒は毎年のように発生している。

 学校側は、都内に「第2韓国学校」を設立すべく、各所と水面下で候補地の選定や交渉を行ってきた。一時期は東京東部に用地を確保するとの情報もあったが、今回の都立高校跡地は、東京韓学から地下鉄でわずか一駅と近い。

 市ケ谷商業は09年3月、都立赤坂高校との合併に伴い閉校となった。新宿区によると、同区には2015年4月の時点で168人の待機児童がいる。そのうち市ケ谷商業に近い箪笥町特別出張所と榎町特別出張所の管区には57人。出張所は区内に10カ所あるが、区の職員によると、2出張所周辺は区の他地域に比べて待機児童は多いという。また、区全体で見ても2出張所周辺で見ても、待機児童の数は増加傾向にある

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 では、保育所のニーズは高まっているのか長く地元に住む男性は、全員の意見を聞いたわけではないがと前置きした上で、保育所建設を求める声はあまり聞いたことがないと話す。「事情を知らずに外野が騒いでいる」とも述べた

 東京都は今年に入ってから地域の代表者と複数回にわたって協議を行ってきており、男性もその場にいたというが、計画そのものへの強い反対はなかったという。韓国人学校を作るなら、既存の校舎を使ってほしい、中高生よりも小学生を通わせてほしいといった意見が出るなど、計画を受け入れる雰囲気だったという。

 男性は、地元では毎年のように保育施設ができていると話す。新宿区によると、市谷商業跡地近辺では、一昨年からの2年間で5カ所の保育施設が作られている。今年4月には134人が入れる保育園(分園)もできた。数字上は、2015年4月時点の待機児童を全員収容できる

 韓国学校側は、反対の声が上がっていることもあってか、口は重い。だが、事情を知る在日韓国人の間では「韓国人学校だから反対しているのでは」との見方が出ている

 都立高校跡地に外国人学校が作られたケースは過去にもある。04年に閉校となった都立池袋商業高の跡地にできた東京国際フランス学園(移転は2012年)だ。土地・建物はフランス政府との間で売買・賃貸契約が交わされている。この時も含め、都立高校跡地の利用方法について今回ほど大規模な反対はなかったと都側はいう。

 地元男性は、「長い目で見れば、国籍が違うからといって反対するのはおかしい」と話す。「将来を担う子どもたちのためにも受け入れたい」との考えだ。なお、新宿区は東京都でもっとも多くの外国人が住む区である。


 「ソウル市への恩返し」はネットで見つけた後付け理由だった 韓国への土地貸与に猛進する舛添知事に、都議会自民が異例のクギ  (産経新聞 2016/04/03)

(略)都は16日の発表を前に、地元住民との事前協議を今年に入って3回行ったが、参加したのは地域の代表ら10人足らず。発表後は地元への説明会などを開いておらず、報道を通じた周知しかできていないためだ。

 地元代表との事前協議の1回目は「旧市ケ谷商業高校跡地について」と題して行った。当時の様子を知る都職員によると、住民には「跡地の使い道についての相談か」と思い込み、「スポーツ施設がいい」などのアイデアを事前に準備してきた人もいたといい、「韓国人学校ができる」との説明に「えっ」と驚きが広がった

 都側は、ソウル市で日本人学校が「世話になった」とするエピソードを紹介するなどして趣旨を説明。住民側から実施するにあたり「5つの要望」を受けて、最終的に妥結した。

 5つの要望は、(1)都有地は売却せず、貸与する(2)現状の校舎を使う(3)閉鎖的にならず、地域と交流をする(4)小中高であれば、小学校がいい(5)安全対策や警備を万全にしてほしい-。

 都によると、貸与としたのは、住民から「売却をせずに、都が関与を続けてほしい」との意見があったため。また、現状を校舎を使うことについては工事に伴う騒音のほか「変な建物ができては困る」との思いがあったからだという。

 事前協議では「なにも都心の一等地でなくてもいいのではないか」との意見もあったというが、都では「現在、(東京韓国学校に)通っている児童・生徒の約半数が新宿区内在住のため」などと説明。「大きな反対はなかった」として、貸与する方針を固めたという。(略)

周辺住民に向けた大規模な説明会のようなものは、「部外者が入り込み、収拾が付かない恐れがある」(同)として今後も予定していないという


都が「韓国人学校ができる」と説明するために厳選したわずか10人ほどの中から、さらに厳選して1人だけの意見を“地元の意見”として紹介しているんですね。



2016年04月02日
保育園に入りたい!2016年版 日経BPムック 日経DUALの本
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