(ニューシス 韓国語 2015/10/30)

来る11月2日の韓日首脳会談を通じて日本軍慰安婦問題解決を切望するパク・クネ(朴槿恵)大統領に対して、日本の有力日刊紙『朝日新聞』は30日、「韓国が慰安婦問題の解決案を示さなかった」と批判的な反応を示した。

パク大統領は先立って去る29日、朝日新聞・毎日新聞との書面インタビューを通じて「今年中に慰安婦問題が解決されることを心から願っている」と明らかにした。慰安婦問題の解決期間を“今年中”と釘刺しながら、来る韓日首脳会談で日本側が解決案を提示することを要求したのである。パク大統領が書面で日本のマスコミの取材に応じるのは2013年2月の就任以来初めてである。

パク大統領はインタビューで「誤った歴史認識が韓日関係を停滞させた」と指摘し、今回の首脳会談を「両国が正しい歴史認識のもとに過去の歴史を乗り越え、新たな未来に出発する転換点にしなければならない」と明らかにした

朝日新聞は30日付の論評記事で、「パク大統領が安倍総理との初の両者首脳会談を前に、慰安婦問題の解決の兆しが見られないことに不満を表明した」と指摘した。また「韓国では過去の日本統治の歴史から、世論の注目を浴びやすく、政策重視の外交交渉が難しい」としながら「パク大統領が慰安婦問題にこだわる背景もそこにある」と主張した。引き続き「『原則主義』を政治信条とするパク大統領は、歴史問題とその象徴の慰安婦問題を最優先にせざるをえなくなり、韓日関係全体を見渡した建設的戦略を語る機会を失っている」と解釈した。

朝日新聞は「日本政府も慰安婦問題が再び浮上しないために終止符を打ちたいと希望している」と指摘し、しかし、安倍政権は「今回(韓国に)譲歩しても、また問題を再び浮上させるのではないか」として疑っていると伝えた

また、朝日新聞は「パク大統領は今回の書面インタビューで、慰安婦問題を解決するための韓国側の案を示さなかった」とし「韓日関係で歴史認識問題をどのように位置づけるのか、明確な戦略も語らなかった」と批判した

また「韓国側は、問題を起こした日本が具体的な解決策示すべきだとの姿勢を一貫してきた」と指摘した。(機械翻訳 若干修正)


(外務省 2015/10/30)
(略)
朝日新聞 安倍記者】朴槿恵大統領ですけれども朝日新聞と毎日新聞の共同インタビューに答えまして慰安婦問題の年内解決を改めて求めています。韓国側からは具体的な提案というのはありませんで,日本側に解決を求めているような形ですれども,日本側としてはこの辺についてどのように対応されるのでしょうか

【岸田外務大臣】ご指摘の慰安婦の問題について,我が国の基本的な立場は変わっておりませんし,従来から説明してきたとおりです。引き続き粘り強く議論をしていきたいと思っています

毎日新聞 小田中記者】関連してなのですけれども,朴槿恵大統領ですね,今回の会談を機会に日本側の提案を求めていると,11月2日の会談を念頭に日本側の解決策の提案を求めているようなのですけれども,今回の会談で日本側として新たな提案を行う予定は・・・・

【岸田外務大臣】日本側の基本的な立場は変わりません。粘り強く協議いたします。
(略) 


パク大統領も韓国政府も「決して終わらない」ことが分かっているから、“条件”を出せないんでしょうね。


朴大統領、慰安婦問題「年内妥結を」 書面インタビュー
(朝日新聞 2015/10/30)

韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は29日、朝日新聞と毎日新聞の共同書面インタビューに回答し、日韓の間で懸案となっている旧日本軍の慰安婦問題を「今年中に」決着させるよう強く訴えた。日本側に対し、11月2日にソウルで行う日韓首脳会談で解決策を示すよう求めた。

 朴大統領がこうした形で日本メディアの取材に応じるのは、2013年2月の就任以来初めて。安倍晋三首相との初の二国間首脳会談を前に、慰安婦問題の停滞に不満を表明した。ただ、韓国側から具体的な提案はせず、解決策を日本に委ねる姿勢で、どういう対応なら柔軟な姿勢を示すかなども触れなかった

 朴氏は、「誤った歴史認識」が日韓関係を停滞させたと指摘し、今回の首脳会談を「両国が正しい歴史認識を基礎に、過去の歴史を克服し、新たな未来に向けて出発する転換点にすべきだ」と訴えた。

 朴氏が重視してきた慰安婦問題について「今年中にこの問題が妥結することを心から望む」と強調。「日本政府が、被害者が受け入れ、我が国民が納得できる解決策をできるだけ早く示すことが重要だ」と述べた。首脳会談で「この機会に日本政府がそれに見合った癒やしと解決策を示すことを望む」と述べた

 日本政府は、慰安婦問題を後から蒸し返されない形で終止符を打ちたいと希望している。この点について、朴氏は「過去によってこれ以上、お互いを傷つけ、論争が生じないことを心から望む」と述べた。(略)

■「両国が正しい歴史認識を」

 朴氏は今回、「両国が正しい歴史認識のもとに、歴史問題を乗り越え、新たな未来に向かって出発する転換点を作らないといけない」と述べた。その象徴として慰安婦問題を挙げた。

 韓国では過去の日本統治の歴史から、対日関係は政治家や世論の注目を浴びやすく、政策重視の外交交渉が難しいという事情がある。朴氏が慰安婦問題にこだわる背景もそこにある。

 朴氏は2013年2月の就任式当日、麻生太郎副総理と会談して、「歴史の直視」を訴えたが、当の麻生氏は同年4月に靖国神社に参拝。朴氏の発言は軽視された格好になり、政治的な威信が大きく傷ついた。安倍晋三首相が直後に「侵略の定義は定まっていない」と発言したことも、追い打ちをかけた。

 安倍氏はかつて河野談話の見直しを主張し、昨年の河野談話の検証などでは、韓国の反発を呼んだ。

 「原則主義」を政治信条に掲げる朴氏は、歴史認識問題とその象徴の慰安婦問題を最優先にせざるをえなくなり、日韓関係全体を見渡した建設的な戦略を語る機会を失っている。

 朴氏は今回、「我が政府が韓日関係を停滞させたわけではなく、誤った歴史認識のために、葛藤と反目が起きているのは、すべての人々が認めていることと思います」と述べた

 複数の日韓関係筋によれば、朴氏が日韓首脳会談を行うと最終的に決断したのは25日。最後まで揺れたのは、朴氏自身が解決を強く望み、首脳会談の事実上の前提条件としてきた旧日本軍の慰安婦問題で、はかばかしい進展がみられなかったからだという

■対日戦略、打ち出せず

 韓国の朴槿恵大統領は今回の書面インタビューで、慰安婦問題を解決するための韓国側の案を示さなかった。歴史認識問題を日韓関係のなかでどう位置づけるのか、明確な戦略も語らなかった

 慰安婦問題で韓国側は、問題を起こした側の日本が具体的な解決策を示すべきだとの姿勢を一貫してとってきた。朴氏もこの方針を原則としており、解決に向けた具体案を示せない一因になっている

 ある日本政府関係者は「両国の間で、何を譲って何を得るのかという提案は聞いたことがない」と語る。

 この関係者によれば、安倍政権は「今回譲っても、また問題を蒸し返されるのではないか」と疑心暗鬼になっている。ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産への「明治日本の産業革命遺産」の登録を巡る対立も、韓国へのさらなる不信感につながっている。

 こうしたなか、韓国側は慰安婦問題の進展を首脳会談開催の事実上の前提としてきた。韓国政府は、対日関係全体の中で歴史認識問題をどう位置づけるのかといった戦略を打ち出せない。(略)
韓国・朴大統領の書面回答全文
(朝日新聞 2015/10/30)

 朴槿恵大統領の書面回答(全文)は次の通り。

 ■日韓関係

 ――今回の日中韓首脳会談を契機に、安倍晋三首相と初めて日韓首脳会談をする予定ですが、開催を決めた理由は何ですか。両国間の懸案について、どのような合意を期待しますか。

 韓日両国は、北東アジアの平和と繁栄のために、一緒に協力していかなければならない重要な隣国です。

 今年、両国は国交正常化50周年を迎え、6月にソウルと東京で開かれた記念式典と、9月の日韓交流おまつり行事などを通して、関係改善を願う両国民の熱い思いを確認することができました。現在、両国が正しい歴史認識のもとに、歴史問題を乗り越え、新たな未来に向かって出発する転換点を作らないといけないと考えています。

 韓国政府はこうした認識のもと、両国関係の改善のために、多方面で積極的に努力を傾けてきました。

 韓国は韓日中3カ国協力の議長国として、韓日中3カ国首脳会談開催のため努力を重ね、今回の首脳会談で韓国と日本の安定的な関係の発展に、大切な契機となることを期待しています。

 そのためには、何より、両国間の重要な懸案である日本軍慰安婦の被害者の問題の進展が重要であり、今回の首脳会談が慰安婦問題解決にめどをつける機会となり、互いの傷の痛みを、さらに傷つけないよう願っています。

 ――日本では9月に新しい安全保障法が成立しました。北東アジア地域での日韓、日米韓の安保協力のビジョンを聞かせてください。

 日本の軍事的役割拡大について、周辺国の憂慮が相変わらず残っているのが現実であり、日本国内でも様々な議論があることは知っています。

 それに対して、日本の防衛安保政策は、平和憲法の精神を基礎として日米同盟の枠組みの中で、域内の国家間の善隣友好関係と平和と安定に役立つ方向へ、透明性を持って履行されなければならないと考えています。

 また、私は就任当初から、両国の歴史問題について、日本政府の誠意ある措置を重ねて求めてきましたが、安保分野の協力は維持、強化していくという基調は堅持してきました。

 特に、韓米日3者の枠組みの中で、北韓(北朝鮮)の核と、北朝鮮問題に関する協力を継続的に強化してきたのであり、昨年12月、韓米日の軍事当局間の情報共有約定の締結が良い例だといえます。

 ――朴槿恵政権の発足以降、中韓関係が強化される一方、日韓関係、安保における日米韓協力体制が弱体化しているとの憂慮が日本国内に広がっています。このような憂慮に対してどう考えますか。

 域内の国々の間で、二国間関係を(一方の利益が増えた分、他方の損失になる)ゼロサムの構図で見てはならず、むしろそのような認識自体が域内協力を阻害する要素になりえます。

 私は、域内の全国家間で、二国間関係が発展を遂げ、多様な形の協力を進めていくことが、韓国はもちろん、各国の国益にも合致すると考えています。このような認識の下、我が国は、中国を含めた域内の全国家との関係発展に努力しており、日本とも関係を強化させることができることを切に願っています。

 我が政府が韓日関係を停滞させたわけではなく、誤った歴史認識のために、葛藤と反目が起きているのは、すべての人々が認めていることと思います。

 韓国政府は韓米日の協力体制をさらに強固にしていくなかで、域内協力強化のために韓日中間の協力の正常化にも努力しています。

 ■歴史認識

 ――慰安婦問題の解決のために日本はどのような努力をすべきですか。

 日本軍慰安婦の被害者の問題は、韓日両国間の問題を超え、普遍的な女性の人権の問題です。また、両国民の傷でもあり、胸が痛む事案です。

 被害者の方が90歳前後の高齢であるという点を考慮すれば、一刻も早く解決しなければならない喫緊の問題でもあります。今年だけで元慰安婦のおばあさんは8人が亡くなり、現在47人が存命で、今年中にこの問題が妥結され、この方々の傷が癒やされることを心から願っています。

 そのために、日本政府が、被害者が受け入れ、我が国民が納得できる解決策をできるだけ早く示すことが重要です。この機会に、日本政府が、それに見合った癒やしと解決策を示してくれることを願っています。

 過去は、否定したとしても、決して解決されるものではありません。今後、両国の発展と、前向きに共存共栄して成長するためにも、過去によってこれ以上、新しい傷を負い、論争が生じないことを心から望みます。

 ――日本統治期に徴用された人たちの裁判が韓国の大法院(最高裁)で進行中ですが、歴史認識問題をどのように決着させたいですか。

 日本政府は、1982年の宮沢談話と93年の河野談話、そして、95年の村山談話と2010年の菅談話などを通して、植民地支配と侵略を反省し、未来へ進もうとする意思を表明してきました。こうした取り組みは、65年の国交正常化以降、両国関係が継続して発展してきた根幹となってきました。

 私は歴史認識の問題を解決するための出発点も、日本政府がそうした初心に戻ることだろうと考えています。

 韓国政府の一貫した立場は、日本政府が自ら明らかにしてきた歴史認識を揺るぎなく維持し、これを覆そうとする試みや、これに逆行する言動をやめてほしいということです。決して新しいことを求めているわけではありません。

 安倍首相も8月に戦後70年談話を通じ、「歴代内閣の歴史認識は揺るぎないもの」と公言しただけに、日本政府が誠意を持って、そのような公言を具体的な行動で実践することを期待しています。(略)