(朝鮮日報 2015/03/22)

 改良韓服(日常生活で着やすいようにデザインされた韓国の伝統衣装)を見た瞬間、どきっとした。リッパート駐韓米国大使の顔と手首を刃物で切りつけた金基宗(キム・ギジョン)容疑者が着ていたのは、よりによってピンクの改良韓服だった。鮮血が飛び散るテロ現場、そして彼が着ていたピンクの韓服。意図したことではないだろうが、現場の色調は金容疑者が平和を叫びながらテロを犯したのと同じくらい不釣り合いだった。嫌な気分がした。またしても改良韓服とは。

 いつからか、海外メディアの注目を集める韓国人の暴力や奇行の現場に韓服がしばしば登場するようになった。2005年に香港で行われた世界貿易機関(WTO)閣僚会議に反対する韓国の遠征デモ隊には、革新系の姜基甲(カン・ギガプ)国会議員や呉宗烈(オ・ジョンリョル)氏らが韓服姿で参加した。韓服がトレードマークだった姜氏は、その後も国会事務総長室に押し入り机の上でジャンプするという、いわゆる「空中浮遊」騒動を起こし、海外メディアの注目を集めた。06年に米ワシントンまで出向いて韓米自由貿易協定(FTA)反対デモを行ったときも、08年の米国産牛肉輸入反対デモのときも、姜氏は韓服を身に着けていた。姜氏がいたことで、韓服が世界に一層知られるようになったと言えるかもしれない。だが、そんな風に知られるのは韓服にとって「毒」だ。

 10年の韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件の直後、北朝鮮の平壌に赴き「李明博(イ・ミョンバク大統領)こそ事件の元凶だ」と叫んだ韓相烈(ハン・サンリョル)牧師も、韓服姿であちこちに登場した。02年、大統領選挙を前に女子中学生が米軍装甲車にひかれて亡くなる事件が起こると、米ホワイトハウス前で抗議のデモを行った。韓牧師らはブッシュ大統領との面会を求め、これが受け入れられなかったことを不服として一部が警察に暴力を振るい、その場で逮捕された。韓牧師は米国でも、韓国でやっていたのと同じように行動した。自分の指を切って「民族自主」という血書を書き、ハンガーストライキも行った。韓服、ヒゲ、デモ、血書(血)。このミスマッチな組み合わせはいつしか、外国人にとって見慣れた光景となってしまった。韓服にとっては非常に不幸なことだが、おかしな人々のおかしな韓服への愛情がもたらした現実でもある

 イスラムとテロは何の関わりもない。だが、一部のイスラム過激派のせいで、イスラムとイスラムの伝統衣装はテロと暴力のシンボルのように受け止められている。金基宗容疑者のような人々と改良韓服を同一線上に置き、韓服を悪く言う人もいる。だが、韓服に罪はない。改良韓服や生活韓服は、時代錯誤的で極端な民族解放論者の専有物ではない。私たちの伝統衣装をより便利に、手ごろな価格で楽しめるよう、多くの人々の努力によって生まれたものだ

 一つ望みがある。金基宗容疑者のような人々が改良韓服を着ようが着まいが、それは本人の自由だ。だが、彼らの誤った行動で私たちの伝統衣装である韓服のイメージが悪くなり、韓服を生活の中に定着させようとしている人々の努力が台無しになるのは別の問題だ。彼らが繰り返し訴える「民族」や「民族文化」のことを本当に考えているなら、どうかもう韓服を解放してほしい。金容疑者のテロは、韓米同盟に対するテロであると同時に「韓服に対するテロ」でもある


テロを義挙、テロリストを義士と英雄視するんですから「民族」や「民族文化」の事を考えたら『韓服』以外ないんじゃないですかね。

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