(統一日報 2014/03/26)

 文化体育観光部は18日、外資系のLOCZコリアによる外国人専用カジノ建設事業の予備免許を認可したことを明らかにした。韓国のカジノ市場が初めて外資系企業に開放されることになる。国内では観光収入の増加と外資誘致への期待感が高まっている。同時に日本をはじめアジア地域ではカジノ解禁に向けた動きが活発化している。カジノ市場での中国マネー囲い込みのため、競争激化は必至だ。

 今回カジノ業許可審査で「適合」の通知を受けたLOCZ社は、経済自由区域となっている仁川の永宗島内にカジノを建設する計画だ。これにより国内初の外国資本のカジノが誕生することとなった。

 LOCZコリアは、18年までに仁川空港がある永宗島内に国内最大規模の外国人専用カジノ(7700平方メートル)を含む15万8664平方メートル規模の複合リゾート施設を建設する計画だ。カジノの建設費用は7437億ウォン、リゾート施設全体の開発費は約2兆3000億ウォンとみられている。

 政府が外資系企業による国内カジノ市場への参入を承認した背景には、少しでも税収を増やしたいという思惑がある。LOCZの概算によると、永宗島のカジノリゾート建設で8000人、施設運営で2100人の直接雇用があるという。

 また20年までに8900億ウォンの観光収入があり、28年までに税収は1270億ウォンに達するとの予想だ。政府の財政状況によっては、今後も外資系カジノの容認が一気に加速するとの見方もでている。

 政府が外資系カジノの解禁を急ぐ理由には日本の影響も少なくない。20年の夏季五輪に向け、日本ではカジノの合法化に向けて動きが加速している。昨年末には、超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟(通称・カジノ議連)が、カジノ解禁推進法案を国会に提出した。日本でカジノが解禁されれば、アジアではマカオに次ぐ規模のカジノ市場(年間で400億ドル)が誕生すると予想している。

 世界のカジノ市場は1568億ドル規模で、このうちアジア太平洋地域のカジノ市場が629億ドルをしめている。特にマカオは年間の売上高が440億ドルで米国ラスベガスの売上高(64億ドル)の7倍に達し、世界最大のカジノ市場となっている。その原動力は中国本土からの観光客だ

 韓国としては、日本にカジノが誕生すると、現在カジノ目的で韓国に来ている中国人観光客が、日本に流れてしまうことを警戒している。また日本以外にも、年間60億ドルのカジノ売上高を誇るアジア2位のシンガポール、ロシアや台湾もカジノ開設に向けた動きが活発だ。

 外資系カジノの参入は、韓国政府が厳しく規制しているオープンカジノ(韓国人が利用できるカジノ)の見直しにつながるとの懸念も強い。

 現在、国内のオープンカジノは江原ランドのみだが、その売上高は1兆2000億ウォン(12年)で、これは国内16カ所の外国人専用カジノの総売上高1兆2500億ウォン(12年)に匹敵する。

 現行法では、江原ランド以外のオープンカジノの設立は25年まで禁止となっている。しかし外資系企業の要求や、アジア地域のカジノ開発競争激化、外資誘致、雇用創出の面から、政府が規制緩和に応じる可能性はゼロではない

 そうなれば、ギャンブル依存症など社会不安要素が広がることが懸念される。カジノの経済効果よりも、ギャンブル依存などへの対策にそれ以上のコストがかかるという概算も出ている。


規制緩和なら、まず外国人専用カジノを韓国人に開放でしょうね。

そうなると、現在1か所しかない韓国人が利用できる『江原ランド』の“社会不安要素”の現状↓が全国に・・・・・・



 カジノ中毒相談5万人 韓国、経済振興策の裏で
(朝日新聞 2014/03/14

 夜通しルーレット台に張り付いた韓国人男性(63)の目は真っ赤に充血していた。

 かつての炭鉱の町に2000年、開業した韓国北部のカジノリゾート「江原(カンウォン)ランド」。男性はこの3カ月で27回、カジノに通った。この日、約70万ウォン(約6万6千円)を一晩で失い、「中毒管理センター」で初めてのカウンセリングを受けた。

 カジノにのめり込んだのは1年半前。1日で300万ウォン(約28万円)勝って味をしめた。趣味の乗馬をやめ、カジノの金を捻出するために酒やたばこも買わなくなった。仕事が休みになると、家族に内緒でソウルから 高速バス でやって来る。「友人は絶対に連れて来ない。ダメになるのは私一人でいいから」

 中毒管理センターはランドが開設。カウンセリングのほか、専門家がギャンブル依存症かどうか判別し、重症者には病院の案内をしている。カジノ客なら無料で利用でき、利用者は開設から13年間で約5万人に上る。依存症対策の先例として、カジノの誘致を目指す日本の自治体の県議も視察に訪れたという。

 センターの目と鼻の先には、カジノのきらびやかなネオンが光る。男性も「カウンセリングを受けたからもう大丈夫」と言いながら、再びカジノのゲートをくぐって行った。

 カジノで財産を失い、ランド周辺の安宿やサウナに住み着く「カジノホームレス」も問題になっている

 「今も100人以上いる。カジノで働いて金をため、またカジノで失っての繰り返し」。地元の警察署のベテラン警察官は苦笑した。治安の良さを強調しながらも、「他人の 身分証 を使った違法な入場はほぼ毎日。違法な闇金や金を失った客が放火することもある」。開業後、ランド内で自殺した客は48人を数える。

 ランド側も対策を打ってきた。当初は24時間営業だったが20時間に短縮。客は入場記録が管理され、1カ月の利用回数は15回に制限されている。

 暴力団のカジノ運営への介入が問題視された過去がある韓国で、ランドは炭鉱閉鎖後の経済振興策として誘致され、国内で唯一、例外的に自国民の入場が認められた。12年の入場者数は約300万人。国へ納める税金も年間5千億ウォン(約475億円)に上るという。約3千人いる従業員の6割は地元採用だ。


 それでも、かつてカジノを誘致した住民団体代表の崔慶植(チェキョンシク)さん(52)は「カジノができてよかったことは何もない」と不満げだ。

 カジノが開業した年に約2万5千人いた人口は、約1万5千人にまで減った。子育て中の若い世代が町を出てしまい、 人口減少 に歯止めがかからないという。

 「カジノができて町は質屋と飲み屋が増え、性的なマッサージ店もできた。この環境で子どもを育てたいと思う人はいないでしょ」。崔さんはつぶやいた。
     ◇
 韓国にある17カ所のカジノのうち、韓国人が入場できるのは江原ランドだけだ。12年の入場者数は約300万人で、全てのカジノの総売り上げの半分を占める。ギャンブル産業の問題に取り組む政府機関の試算では、10年の韓国の賭博中毒による経済的損失は約78兆ウォン(約7兆4千億円)。担当者は「カジノは中毒率が最も高い。勝った時に得られる金額が大きく、愛好家が最後に行き着く」と指摘する。(略)